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吹拂
空模樣は、その
癖、
星が
晃々して、
澄切つて
居ながら、
風は
尋常ならず
亂れて、
時々むく/\と
古綿を
積んだ
灰色の
雲が
湧上る。とぽつりと
降る。
降るかと
思ふと、
颯と
又暴びた
風で
吹拂ふ。
覺悟の
身に
今更の
涙見苦しゝと
勵ますは
詞ばかり
我れまづ
拂ふ
瞼の
露の
消えんとする
命か
扨もはかなし
此處松澤新田が
先祖累代の
墓所晝猶暗き
樹木の
茂みを
吹拂ふ
夜風いとゞ
悲慘の
聲を