“ひとなみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
人並55.4%
人波16.1%
一波7.1%
人浪5.4%
一浪3.6%
人間並3.6%
人凡1.8%
人尋常1.8%
人涛1.8%
人竝1.8%
尋常1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ぼくはものを感じるのは、まあ人並ひとなみだろうと、思っていますが、おぼえるのは、面倒臭めんどうくさいと考えるゆえもあって、自信がありません。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
……その風かをる橋のうへ、ゆきつ、もどりつ、人波ひとなみのなかに交つて見てゐると、撫子なでしこの花、薔薇ばらはな欄干らんかんに溢れ、人道じんだうのそとまで、瀧と溢れ出る。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
わっといった顔へ一波ひとなみかぶって、呼吸いきをひいて仰向あおむけに沈んだから、面くらって立とうとすると、また倒れて、眼がくらんで、アッとまたいきをひいて
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そしてそとは、チャアリング・クロスの史的に気軽な人浪ひとなみとABCの詩だ。
船はもう一浪ひとなみで、一つ目の浜へ着くようになった時、ここから上って、草臥くたびれた足でまた砂をもうより、小川尻おがわじりあがって、薦の葉を一またぎ、やしきの背戸の柿の樹へ
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
全然まるで理由わけの無い反抗心を抱いたものだが、それも独寝の床に人間並ひとなみの出来心を起した時だけの話、夜が明けると何時しか忘れた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
背が高いので、手足も人尋常ひとなみより恰好かっこうよく伸びたところを、彼は快よく始めから眺めたのだが、今度はことにその右の手が彼の心をいた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
幾十となき響官の提灯ちやうちんは、えたける人涛ひとなみの間に浮きつ沈みつして
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
さればとよ、一門沒落の時は我も人竝ひとなみに都を立ち出でて西國にくだりしが、行くも歸るも水の上、風に漂ふ波枕なみまくら此三年このみとせの春秋は安き夢とてはなかりしぞや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
妻は尋常ひとなみより小きに、夫はすぐれたる大兵だいひよう肥満にて、彼の常に心遣こころづかひありげの面色おももちなるに引替へて、生きながら布袋ほていを見る如き福相したり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)