“薔薇”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ばら82.4%
さうび7.2%
そうび2.3%
うばら1.6%
しょうび1.3%
ローズ1.3%
いばら1.0%
しやうび1.0%
バラ1.0%
しようび0.3%
(他:2)0.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いかにしてか、小鳥は歌い、雪はとけ、薔薇ばらの花は開き、五月は輝きいで、黒い木立ちのかなたうち震う丘の頂にはあけぼのの色が白んでくる。
黒い上衣と短いズボンと白い靴足袋くつたびと白い手袋とをつけたバスクは、これから出そうとする皿のまわりにそれぞれ薔薇ばらの花を配っていた。
自分は明日あす早朝キリクランキーの古戦場をおうと決心した。崖から出たら足の下に美しい薔薇ばら花弁はなびらが二三片散っていた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こぼれ落ちるものは頭垢ふけと涙、湧きいづるものは、泉、乳、虱、接吻くちづけのあとのおくび、紅き薔薇さうびの虫、白蟻。
第二真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雨に打ち砕かれて、はては咲かなくなつて居た薔薇さうびが、今朝はまたところどころに咲いて居る。
まだ巣ごもり居て、薔薇さうびの枝の緑の葉をついばめども、今生ぜむとする蕾をば見ざりき。
昔の思われる花橘はなたちばな撫子なでしこ薔薇そうび木丹くたになどの草木を植えた中に春秋のものも配してあった。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
つた薔薇そうびつる欄にからまり、庭苑の高きくさむら、垂れかかる樹枝などと共に、ぎっしりと深き茂陰を成す。
天真の桜花の、人造の薔薇そうびのといふ譬喩ひゆはかたはらいたし。
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
高祖保よ の鉢に植ゑるがいい 四季咲きの薔薇うばら一輪その匂ひがおまへの臭みを消す
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
わが庭の薔薇うばらのとぼそ春過ぎてくれなゐ久し夏はくるしき
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
わが庭の薔薇うばらのとぼそ春過ぎてくれなゐ久し夏はくるしき
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かざしの白き、手絡てがらなる、帯の錦、そであや薔薇しょうび伽羅きゃらかおりくんずるなかに
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
現代における思潮の淵源、天堂と食堂を兼備えて、薔薇しょうび薫じ星の輝く美的の会合、とあって、おしめとたすきを念頭に置かない催しであるから、留守では、芋が焦げて、小児こどもが泣く。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今は昔し薔薇しょうびらんに目に余る多くの人を幽閉したのはこの塔である。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
クリヴォフ夫人は、それまで胸飾りのテュードル薔薇ローズ(六弁の薔薇)をいじっていた手を卓上に合わせて、法水に挑み掛るような凝視を送りはじめた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
お千代ちゃんは黙って頸を下げた。その時、由子は、紅玉ルビー色の、硝子の、薔薇ローズカットの施こされたかんざしをお千代ちゃんのたっぷりした束ね髪の横に見たのであった。
毛の指環 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
その玉は所謂紅玉ルビー色で、硝子で薔薇ローズカットが施こされていて、直径五分ばかりのものだ。
毛の指環 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
水藻、ヒヤシンスの根、海には薔薇いばらのり、風味あやしき蓴菜は濁りに濁りし沼に咲く、なまじ清水に魚も住まず。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
水藻、ヒヤシンスの根、海には薔薇いばらのり、風味あやしき蓴菜は濁りに濁りし沼に咲く、なまじ清水に魚も住まず。
第二真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
薔薇いばらみち、蹈めば濡羽ぬれはのつばくらめ、
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
なほもち黴菌かびあるごとく、薔薇しやうびとげあるごとく、渠等かれらきよほしいまゝにするあひだ
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そはわれいばらが、冬の間はかたく恐ろしく見ゆれども、後そのこずゑ薔薇しやうびの花をいたゞくを見 一三三—一三五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
而して其香気は梅花梨花の高淡なるにあらず、丁香ていかう薔薇しやうびの清凉なるにもあらず、将又はたまた百合の香の重く悩ましきにも似ざれば、人或はこれを以て隣家のくりやに林檎を焼き蜂蜜を煮詰むる匂の漏来もれきたるものとなすべし。
来青花 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
それは手許に本がないからはっきりしたことは申上げかねますが、何でも一本の薔薇バラの木にいる昆虫の数をしらべてみると十数種になるとかいうような話でありました。
俳句の作りよう (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
村には家屋敷がおよそ二十ばかり、その鎧戸は、みんな明るい緑色か、青空そのままの色に塗られ、屋根は、多くはあか薔薇バラ色、または黒と白のまだらに塗られていました。
「しかしながらわれらは外に失いしところのものを内において取り返すをべし、君らと余との生存中にわれらはユトランドの曠野を化して薔薇バラの花咲くところとなすを得べし」と彼は続いて答えました。
はや、永劫の月の彼方に没したるなり、あゝわれは涙なす宿星のふところに入らばや……されど、みめぐみに充ちし瑠璃の輝きこそは、あゝ、きたるまじ、われはかく双手さしのべて願へども、はらはらと散り失せし薔薇しようびが花弁を追ふによしなし、
嘆きの孔雀 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
コン吉とタヌが薔薇ロジェの木の花棚の下で待っていると、目もはるかな荘園に続く大きな木柵もくさくをあけて、皮の脚絆モレチエールをはき、太い金鎖きんぐさりをチョッキの胸にからませた夕月のように赤い丸い顔をした田舎大尽いなかだいじん風の老人がのっしのっしと現われて来た。
つまり、予言の薫烟ヴァイスザーゲント・ラウフと云って、当時貴方の脳裡のうりに浮動していた一つの観念が、薔薇ローゼンに誘導され、そこで、薔薇乳香ローゼン・ヴァイラウフと云う一語となって意表面に現われたのでした。こうして、僕の聯想分析は完成され、それと同時に、貴方がその一冊の名を、絶えず脳裡から離せない理由を知ることが出来たのです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)