“薔薇”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ばら82.4%
さうび7.0%
そうび2.4%
うばら1.5%
しょうび1.5%
ローズ1.2%
いばら0.9%
しやうび0.9%
バラ0.9%
しようび0.3%
ろうさばら0.3%
ロジェ0.3%
ローゼン0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
胸のところに、小さい白い薔薇ばらの花を刺繍ししゅうして置いた。上衣を着ちゃうと、この刺繍見えなくなる。誰にもわからない。得意である。
女生徒 (新字新仮名) / 太宰治(著)
まだ巣ごもり居て、薔薇さうびの枝の緑の葉をついばめども、今生ぜむとする蕾をば見ざりき。二月三月の後、薔薇の花は開きぬ。
天真の桜花の、人造の薔薇そうびのといふ譬喩ひゆはかたはらいたし。桜花をのみ無上にありがたがりて、外の花の美を知らぬ人とは、共に美術文学を語りがたし。
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
高祖保よ の鉢に植ゑるがいい 四季咲きの薔薇うばら一輪その匂ひがおまへの臭みを消す
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
柳宗元りゅうそうげん韓退之かんたいしの文を読むごとに薔薇しょうびみずで手を清めたと云うくらいだから、吾輩の文に対してもせめて自腹じばらで雑誌を買って来て
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その玉は所謂紅玉ルビー色で、硝子で薔薇ローズカットが施こされていて、直径五分ばかりのものだ。紅玉色の硝子は、濃い黒い束ね髪の上にあった。
毛の指環 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
水藻、ヒヤシンスの根、海には薔薇いばらのり、風味あやしき蓴菜は濁りに濁りし沼に咲く、なまじ清水に魚も住まず。
第二真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
丁香ていかう薔薇しやうびの清凉なるにもあらず、将又はたまた百合の香の重く悩ましきにも似ざれば、人或はこれを以て隣家のくりやに林檎を焼き蜂蜜を煮詰むる匂の漏来もれきたるものとなすべし。
来青花 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
べし、君らと余との生存中にわれらはユトランドの曠野を化して薔薇バラの花咲くところとなすを得べし
きたるまじ、われはかく双手さしのべて願へども、はらはらと散り失せし薔薇しようびが花弁を追ふによしなし
嘆きの孔雀 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
□三月上巳の節句とて往来し、艾糕くさもちを作ておくる、石竹・薔薇ろうさばら罌粟けしともに花咲く、紫蘇生じ、麦みのにじ始て見ゆ。
コン吉とタヌが薔薇ロジェの木の花棚の下で待っていると、目もはるかな荘園に続く大きな木柵もくさくをあけて、皮の脚絆モレチエールをはき
つまり、予言の薫烟ヴァイスザーゲント・ラウフと云って、当時貴方の脳裡のうりに浮動していた一つの観念が、薔薇ローゼンに誘導され、そこで、薔薇乳香ローゼン・ヴァイラウフと云う一語となって意表面に現われたのでした。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)