“啄”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ついば51.0%
つつ17.9%
9.3%
くち6.0%
つゝ4.6%
つい3.3%
くちばし2.6%
1.3%
ほじく1.3%
くわ0.7%
つひば0.7%
つツつ0.7%
0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
鶏はくがに米をついばみ家鴨は水に泥鰌どじょうを追うを悟り、寝静まりたる家家の向う「低き夢夢の畳める間に、晩くほの黄色き月の出を見出でて」
見れば、恥辱を感じたのか、氣の毒と思つたのか、それとも怒つたのか、耳の根迄紅くなつて、鉛筆のさきでコツ/\と卓子テーブルつついて居る。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「それは三年ばかり、以前に、私が南洋から持って帰ったもので、今は馴れていますが非常な猛鳥で、怒ると犬やこうしぐらいはき殺します」
幽霊屋敷の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「いや。訊くまでもない。実際、風呂にはいっていたならば、突然に消えてしまう筈がないじゃないか。」と、遠泉君は傍からくちを出した。
五色蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すると、ある日の事将軍家は皿の煮魚をつゝいてゐるうち、ふと膳部の上に好物の薑が載つてないのに気が付いて、不思議さうに給仕の者の顔を見た。
あのくいちがったくちばしを松かさの弁の間へ揷しこんで巧みに実をついばむ、あの肉があんなに美味なのは好んで松の実を喰べるためだ、……そう聞いたことを話そうと思ったのに
菊屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
嫂はそれを抱いて膝の上に置いて撫でさすった。暫くして鸚鵡はやっと正気づいて来た。そこでくちばしで翼をつくろって飛びあがり、室の中をまわっていった。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
して鳥類てうるゐ廣大無邊くわうだいむへん天地てんちいへとし、やまけり、うみよこぎり、自在じざい虚空こくう往來わうらいして、こゝろのまゝにしよくみ、おもむところねぐら宿やどる。さるをとらへてかごふうじてださずば、その窮屈きうくつはいかならむ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ゾクゾクと寒さが背に迫るので、渠は顏を顰蹙しかめて、火鉢の火をほじくつた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
また、ただ鶯といわずに、青柳の枝をくわえている鶯というのだから、写象もその方が複雑で気持がよい。その鶯がうれしくて鳴くというのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そのなかを背の禿ちよろけになつた鳥が一羽、気忙しく飛び廻つて虫をつひばみながら、さも悲しくてたまらなささうに鳴きしきつてゐた。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
つツつくわ』と、あいちやんは注意ちういしたものゝ、まつたためしてもかまはないとふうで。『う/\』つて公爵夫人こうしやくふじんは、紅鶴べにづる芥子菜からしなとは何方どちらもつッつく。れの徳義とくぎは——『るゐもつあつまる ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そして海霧ガスれた夕方など、択捉えとろふ島の沖あたりで、夥しい海豚いるかの群にまれながら浮流うきながされて行く仔鯨の屍体を、うっかり発見みつけたりする千島帰りの漁船があった。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)