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啄
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つつ
ふりがな文庫
“
啄
(
つつ
)” の例文
見れば、恥辱を感じたのか、氣の毒と思つたのか、それとも怒つたのか、耳の根迄紅くなつて、鉛筆の
尖
(
さき
)
でコツ/\と
卓子
(
テーブル
)
を
啄
(
つつ
)
いて居る。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そこには、半ば
貪
(
むさぼ
)
り
啄
(
つつ
)
かれた兵士達の
屍
(
しかばね
)
が散り散りに横たわっていた。顔面はさんざんに
傷
(
そこな
)
われて見るかげもなくなっていた。
渦巻ける烏の群
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
シコモルの茂みの中には
頬白
(
ほおじろ
)
が騒いでおり、
雀
(
すずめ
)
は勇ましい声を立て、
啄木鳥
(
きつつき
)
はマロニエの幹をよじ上って、樹皮の穴を軽く
啄
(
つつ
)
き回っていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
いま
孵
(
かえ
)
ったばかりの小雛が外へ向って呼ぶ声と、外の母鶏が卵の中からその小雛を連れ出そうと殻を
啄
(
つつ
)
く母鶏の嘴とが
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
時々赤い頭をした緑色の
啄木鳥
(
きつつき
)
が、嘴で虫の食つた木を
啄
(
つつ
)
いて、昆虫を出してたべる仕事の最中に、驚いて叫びながら矢のやうに飛んで行つて了ひました。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
▼ もっと見る
小鳥達は早く出て芸当をやり度くてたまらぬらしく、籠をコツコツ
啄
(
つつ
)
いていた。芸当のある物は顕著であった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
それが万一
僥倖
(
ぎょうこう
)
に助かって孵化しても、親に似て性の悪い杜鵑の雛鳥に鋭い嘴で
啄
(
つつ
)
き出されてしまうという。
話の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しまいには
畠山
(
はたけやま
)
の
城址
(
しろあと
)
からあけびと云うものを取って来て
瓶
(
へい
)
に
挿
(
はさ
)
んだ。それは色の
褪
(
さ
)
めた
茄子
(
なす
)
の色をしていた。そうしてその一つを鳥が
啄
(
つつ
)
いて
空洞
(
うつろ
)
にしていた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
飢鷹に髓を
啄
(
つつ
)
かすのだ、それで、肉が腐り
爛
(
ただ
)
れてなくなると、神水をかけて
業風
(
ごうふう
)
に吹かすと、また本の形になる、こんな奴は、億万
劫
(
ごう
)
を経ても世には出られないよ
令狐生冥夢録
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
やッと信仰を
繋
(
つな
)
ぎますのも、あの鐘を、鳥の
啄
(
つつ
)
いた
蔓葛
(
つたかずら
)
で
釣
(
つる
)
しましたようなもの、鎖も
絆
(
きずな
)
も切れますのは、まのあたりでござります。それまでお
堪
(
こら
)
えなさりまし。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
野中の
掃溜
(
はきだめ
)
へ捨て鶏犬の
啄
(
つつ
)
き
噉
(
くら
)
うに任すと書いた、眼前の見聞を留めたもの故事実と見える。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ひもじきかさらば
食
(
は
)
めよと、一つ
掌
(
て
)
に牛の
乳
(
ち
)
盛れば、子鴉はみぎりより来て、犬の子は左より来て、
嘴
(
はし
)
と口つつき合せて、
啄
(
つつ
)
き嘗め、啄き嘗めつす。また、そねみ、惜み、にくまず。
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
捕えてやろうとすると、相手はかえって私の方へ立ち向って来て、指を
啄
(
つつ
)
こうとします。それで、私が指を引っ込めると、今度は、平気な顔で、虫やかたつむりをあさり歩いているのでした。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
鳥は
嘴
(
くちばし
)
で竹の骨を
啄
(
つつ
)
いたり、撞木で嘴を磨いたりしていたが、小声で何か囀ると、籠の戸口まで出て来て、暫らく外の景色を頭を傾げて見ていたが、また思い止って籠の中に戻ってしまった。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その音がし始めると、信子は仕事の手を止めて二階へ上り、抜き足差し足で明り障子へ
嵌
(
は
)
めた
硝子
(
ガラス
)
に近づいて行った。歩くのじゃなしに、
揃
(
そろ
)
えた
趾
(
あし
)
で跳ねながら、四五匹の雀が餌を
啄
(
つつ
)
いていた。
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
角鷹
(
くまたか
)
のようにあなたの命の根を
啄
(
つつ
)
く1635
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
追つかけ廻つた、
啄
(
つつ
)
くわ 啄くわ
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
櫻實
(
ゆずらうめ
)
なぞ
啄
(
つつ
)
ついた。
鸚鵡:(フランス)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
見れば、恥辱を感じたのか、気の毒と思つたのか、それとも怒つたのか、耳の根迄紅くなつて、鉛筆の尖でコツ/\と卓子を
啄
(
つつ
)
いて居る。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
艦隊
(
かんたい
)
のように魚以上の堂々とした隊列で遊弋し、また
闘鶏
(
とうけい
)
のように互いに瞬間を
鋭
(
するど
)
く
啄
(
つつ
)
き合う。身体に燃えるぬめりを水で扱き取ろうとして異様に
翻
(
ひるがえ
)
り、翻り、翻る。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ひもじきかさらば
食
(
を
)
せよと、一つ
掌
(
て
)
に牛の
乳
(
ち
)
盛れば、子鴉はみぎりより来て、犬の子は左よりきて、
嘴
(
はし
)
と口つつき合せて、
啄
(
つつ
)
き
嘗
(
な
)
め、啄き嘗めつす。また、そねみ、惜み、にくまず。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
むかし
守屋大連
(
もりやのおおむらじ
)
は神道を頑守して仏教を亡ぼさんとし、自戮せられて
啄木鳥
(
てらつつき
)
となり、天王寺の伽藍を
啄
(
つつ
)
き散らせしというが、和歌山県当局は何の私怨もなきに、熊楠が合祀に反対するを
悪
(
にく
)
み
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
脂の乗った肉を
啄
(
つつ
)
きに、10140
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
追つかけ廻つた、
啄
(
つつ
)
くわ啄くわ
都会と田園
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
その時親鷹還り来るを見るより青橿鳥騎馬様にその背に乗り夥しく
啄
(
つつ
)
きまた掻き散らした、傷から出た血が乾いて今まで鷹羽に
条
(
すじ
)
や斑となって残ったとある(オエン『
老兎巫蠱篇
(
オールド・ラビット・ゼ・ヴーズー
)
』一三六頁)
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
啄
(
つつ
)
いて啼いた
別後
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
英国でも女に制せらるる骨なし男をヘン・ベックト、牝鶏に
啄
(
つつ
)
かるるという。グベルナチスいわく、イタリア、ドイツおよびロシアに広く信ぜらるるは牝鶏が牡鶏同然に鳴く時は大凶兆たり。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
啄
(
つつ
)
いて啼いた
雨情民謡百篇
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
予が現に
畜
(
か
)
う雄鶏は毎朝予を見れば
啄
(
つつ
)
きに来る。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
啄
漢検準1級
部首:⼝
10画
“啄”を含む語句
啄木鳥
啄木
剥啄
啐啄
啐啄同時
姑蘇啄麻耶啄
折々啄木鳥
石川啄木
長啄
飲啄
飲啄笑哭