“嵌”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
は70.4%
はま26.1%
はめ1.2%
い0.5%
はさ0.5%
ぱ0.2%
あては0.2%
かん0.2%
すが0.2%
つぐ0.2%
ば0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
T君は勿論(もちろん)僕などよりもこう云う問題に通じていた。が、逞(たくま)しい彼の指には余り不景気には縁のない土耳古(トルコ)石の指環(ゆびわ)も嵌(は)まっていた。
歯車 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
旗本の次男の道楽者という柄には嵌(はま)らなかったが、同優はそのころ売り出し盛りであったので、さのみの不評をも蒙らずに終わった。
寄席と芝居と (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
手錠を嵌(はめ)られると、不貞腐(ふてくさ)れてその場へベタンと坐り込み、まるで夢でも見たように、妙に浮かぬ顔をして眼をパチパチやり出した。
三狂人 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
「あたいね、先刻から考えていたんだけれど、こんな立派な入歯をお嵌(い)れになっても、おじさまは、お年だから間もなく死ぬでしょう。」
蜜のあわれ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
この流れよりは、諸〻の生くる火出でゝ左右の花の中(なか)に止まり、さながら紅玉(あかだま)を黄金(こがね)に嵌(はさ)むるに異ならず 六四—六六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
箆棒(べらぼう)、おつ嵌(ぱ)めんなもんぢやねえ、それ厭(や)だら錢(ぜに)出(だ)せよ錢(ぜに)、なあ、錢(ぜに)出(だ)さねえ積(つもり)すんのが泥棒(どろぼう)より太(ふて)えんだな、西(にし)のおとつゝあ等(ら)躊躇逡巡(しつゝくむつゝく)だから、かたで
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
今日の社会制度は大体において階級本能の盛んであった頃にでき上ったものゆえ、この本能をなお多量に備えている人間の考えたり行なうたりすることはちょうどよくそれに嵌(あては)まる。
人間生活の矛盾 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
西洋の屋(いへ)は甎石(せんせき)を以て築き起すから、縦(たと)ひ天災兵燹(へいせん)を閲(けみ)しても、崩壊して痕跡を留めざるに至ることは無い。それゆゑ碩学鴻儒の故居には往々銅牓(どうばう)を嵌(かん)してこれを標する。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それを文庫へ了(しま)って、さあ寝支度も出来た、行燈(あんどう)の灯(ひ)を雪洞(ぼんぼり)に移して、こいつを持つとすッと立って、絹の鼻緒の嵌(すが)った層(かさ)ね草履をばたばた、引摺って、派手な女だから
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そんなこと云(ゆ)はねえつたつて泣(な)いてんのに何(なん)だつぺな、おとつゝあ」おつぎは勘次(かんじ)を叱(しか)つた。勘次(かんじ)は口(くち)を嵌(つぐ)んで箸(はし)の先(さき)へ馬鈴薯(じやがいも)を刺(さ)した。與吉(よきち)は瞼(まぶた)が弛(ゆる)んでいつか輕(かる)い鼾(いびき)を掻(か)いた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
お柳の豊かな髪が青貝をちり嵌(ば)めた螺鈿(らでん)の阿片盆へ、崩れ返った。傴僂の鼻が並んだ琥珀(こはく)や漢玉(かんぎょく)の隙間で、ゆるやかに呼吸をしながら拡がった。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)