はめ)” の例文
手錠をはめられると、不貞腐ふてくされてその場へベタンと坐り込み、まるで夢でも見たように、妙に浮かぬ顔をして眼をパチパチやり出した。
三狂人 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
そのころ、神月に送った手紙の束が、別荘の大谷石の壁暖炉の、はめこみになったところに放りこんであることを知っていたが、どんなに頼んでも、返してくれなかった。
あなたも私も (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
元来葯は白芷という草の葉もしくはある草の名であって敢て Anther に当てはめるべき字ではないが、榕菴氏はどういう拠り処に基いてこれをそれに用いたものか。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
貸し置ひそかに以前の三人に知らせお前樣を殺さんとて隣村となりむらまで行くと云て出行し其樣子は納戸の中にて殘らず聞てはをりながら猿轡をはめられたれば聲を立る事さへ成ず夫故それゆゑに那樣に物音を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
硝子の底蓋そこぶたはめられた。接合面のふちに、グリースらしきものが塗られた。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)