“爛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ただ70.7%
たゞ12.1%
らん11.3%
きら1.2%
ただら0.8%
ただれ0.8%
たゞら0.8%
あか0.4%
かがや0.4%
かん0.4%
くさ0.4%
しび0.4%
たけなわ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この創痍きず多き胸は、それを想うてだに堪えられない。この焼けただれた感情は、微かに指先を触れただけでも飛び上るように痛ましい。
雪の日 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
おもふと、あはが、ゆきふるはすしろはだたゞれるやうで。……そのは、ぎよつとして、突伏つきふすばかりに火尖ひさきめるがごと吹消ふきけした。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その面を魯粛は「がたき大将」とさげすむように睨みつけていた。そのらんたる白眼はくがんにも刻々と生暖かい風はつよく吹きつのってくる。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
螢の薄光で、ほのかに見える其の姿は、何樣どんなに薄氣味うすぎみ惡く見えたろう。眼は妙にきらついてゐて、鼻はとがツて、そしてひげしろがねのやうに光ツて、胸頭むなさきを飾ツてゐた。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
夫人の身体全体から出る、馥郁ふくいくたる女性の香が、彼の感覚をただらし、彼の魂を溶かしたとってもよかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
絶えずキョトキョトして、そわそわして安んじないばかりか、心にただれたところが有るから何でもないことで妻に角立かどだった言葉を使うことがある。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ればさはれば高慢かうまんしたたゞらしてヤレ沙翁シヱークスピーヤ造化ざうくわ一人子ひとりごであると胴羅魔声どらまごゑ振染ふりしぼ西鶴さいくわく九皐きうかうとんびトロヽをふとンだつうかし
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
水無月の夕雲あか
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それは身の丈が一丈ばかりもある怪物の口から吐く焔であった。黄金色をした両眼もぎらぎらとかがやいた。監物は腰の刀を抜いて怪物を目がけて斬りつけた。
不動像の行方 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一度片付けた晩酌の膳を出して、猪口ちよこを二つ、かんざましになつた徳利の尻を、まだ熱くなつてゐる銅壺どうこに突つ込みます。
歴史は意味なきペーヂの堆積にあらず、幾百世の国民は其が上に心血を印して去れり、骨は朽つべし、肉はくさるべし、然れども人間の心血が捺印なついんしたる跡は、之を抹すべからず。
国民と思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
クーロアールは西向きで、午後の太陽をまともに受けた雪の反射で、ぴったりくっ付けた顔や手先は、しびれるばかりにびりびり痛む。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
格子戸外そとのその元気のいい声に、むっくり起きると、おっと来たりで、目はくぼんでいる……おでこをさきへ、門口かどぐちへ突出すと、顔色の青さをあぶられそうな、からりとした春たけなわな朝景色さ。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)