“たゞ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
31.7%
11.4%
9.8%
6.1%
5.9%
5.5%
5.3%
4.1%
3.0%
尋常2.4%
無代2.0%
普通1.8%
1.2%
1.0%
0.8%
0.8%
無料0.8%
無銭0.6%
0.4%
通常0.4%
唯〻0.4%
0.4%
無償0.4%
0.4%
0.2%
0.2%
0.2%
只々0.2%
唯々0.2%
多田0.2%
平常0.2%
0.2%
0.2%
無錢0.2%
0.2%
0.2%
糺問0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
誰何0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たゞこゝにハルトマンが哲學上の用語例によりて、右の三目を譯せば足りなむ。固有は類想ガツツングスイデエなり、折衷は個想インヂヰヅアアルイデエなり、人間は小天地想ミクロコスミスムスなり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
然るにアリストテレスは何が故にたゞ罪過をのみ説いて歓喜戯曲コムメヂーの「歓喜に終る源因」について説くことなかりしや。是れ大なる由縁あり。
罪過論 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
さかうへ煙草屋たばこやにて北八きたはちたしところのパイレートをあがなふ。勿論もちろん身錢みぜになり。舶來はくらい煙草たばこ此邊このへんにはいまれあり。たゞしめつてあじはひならず。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
振り返ると、油で煑締めたやうな四十五六の古女房が、取亂し切つた姿で、赤黒く燒けたゞれた、小僧の死體を抱き上げて居るのでした。
たゞして申けるは是名主甚兵衞其外の百姓共よくうけたまはれ將軍の上意なればかるからざる事なりしかるに當村中一同に申合せしらぬ/\と強情がうじやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あいちやんはたゞちにれが扇子せんすつて所爲せいだとことつていそいで其扇子そのせんすてました、あだかちゞむのをまつたおそれるものゝごとく。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
たゞに徳川氏を仆したるのみならず、従来の組織を砕折し、従来の制度を撃破し尽くすにあらざれば、満足すること能はざること之なり。
〔譯〕がく之を古訓こくんかんがへ、もん之を師友にたゞすは、人皆之を知る。學必ず之を躬に學び、問必ず諸を心に問ふは、其れ幾人有らんか。
かたぶ其許そのもと何時いつ江戸へ參られしやととふに彦三郎は今朝こんてう福井町へちやくすぐに承まはりたゞし只今爰許こゝもとへ參りしと申ゆゑ彌々いよ/\合點行ず段々樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
丁度その話をして聞かせて居る最中に、尋常たゞならぬ屋外そとの様子で、敵の艦隊が津軽海峡を通過ぎたことを知つた。私は三日ばかり早く函館へ着いて好かつた。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
こんな事を無代たゞで見ず知らずの他人に聞かせるのは惜しいやうなものだが、何事も親切にしなければならぬ世間だから。
私は愈々モオトンの學校を閉鎖した、その別れが私には、普通たゞではないだらうと、注意しながら。幸運は、その手を心と同じやうに不思議なほどに開くものだ。
尤もこれは一つには、何故なぜかこの上問ひたゞすのが惡いやうな、氣咎めが致したからでもございます。——
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
(○明、王陽明の語)と、是何物ぞや、其たゞ心之所爲にあらずや。心明なれば知又明なる處に發すべし。
遺訓 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
終夜よもすがら思ひ煩ひて顏の色たゞならず、肅然として佛壇に向ひ、眼を閉ぢて祈念の體、心細くも立ち上る一縷の香煙に身を包ませて、爪繰つまぐる珠數の音えたり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
わたくしは此に先づ一の大いなる錯誤をたゞして置く。それはたま/\篋中よりき出した一通が、わたくしをして嚢里なうり新居の壬午の歳に成つたことを思はしむる一事である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
『何もその錢金のかゝこつえのだ。私は其麽者で無え。自分で宿料を拂つてゐて、一週間なり十日なり、無料たゞで近所の人達に聞かして上げるのだツさ。今のその、有難いお話な。』
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
上を下へと非常に混雑いたしますから、勘太はこれ幸いと戸外おもてへ飛びだし、毎晩女郎屋近所に火事があればいゝ、無銭たゞ遊びが出来るなんかと途方もない事を申します。
一のたゞしからざること生ずるによりて、社会は必らず之に応ずる何事かをなさざるべからず。
復讐・戦争・自殺 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
わっちはいけぞんぜえ者の仙太郎と申す、通常たゞなら旦那様方にお目通りなんざア出来る身の上ではごぜえやせんが、私のような人間へお交際つきええなさるようじゃア御運のえのでごぜえやすが
能と不能とすべて神にあり。吾れは唯〻たゞ自ら見得せる所を如実に語りづべきのみ。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
小屋こやうちにはたゞこればかりでなく、兩傍りやうわきうづたか偉大ゐだい材木ざいもくんであるが、かさ與吉よきちたけよりたかいので、わづか鋸屑おがくづ降積ふりつもつたうへに、ちひさな身體からだひとれるよりほか餘地よちはない。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
時雨女史は結婚の結納料でも訊くやうに、心もち含羞はにかむで言つた。これまで幾度いくたび無償たゞの原稿を書かされた身には、それだけは訊いておきたかつた。
ねんのために、たゞすと、もつてのほかで。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あかにまみれし面かげの、何處にはいかならん好き處ありとも、たゞ人の目に好しと見ゆべきかは、恐ろしく氣味惡く油斷ならぬ小僧と指さゝるゝはては、警察にさへ睨まれて、此處の祭禮かしこの縁日
琴の音 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
卯平うへいたゞひとりでつぶやくやうにぶすりといつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「鉦を、もつとがつとにたゞけや。」
野の哄笑 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
ぬすみ取人殺しのつみを九助におはせんと其場所へ落し置しもはかがたし依ては鼻紙入紛失ふんじつの事柄をも篤と取糺とりたゞすべきの處是以て一向其沙汰なく只々たゞすそひきたると落てありし鼻紙入とを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
唯々たゞ大きなものとか、深いものとか、立派なものとか、ゑらいものとか、さういふものを自分の眼の前に見るばかりである。
エンジンの響 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
森「眼の悪いのなら多田たゞの薬師がかろうに、天神様が眼に利きますかえ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
人聲俄かに聞えて平常たゞならぬに、ねふれる樣なりし美人はふと耳かたぶけぬ、出火か、鬪諍いさかひか、よもや老夫婦がと微笑ほゝゑみはもらせど、いぶかしき思ひに襟を正して猶聞とらんと耳をすませば
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
湯煙を顔にうけつゝ真青まさをなるつぼのたゞへにかゞまりゐるも
小熊秀雄全集-01:短歌集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
長襦袢ながじゆばんを寢卷にしたもので、少し色せた鹿の子絞りも哀れですが、晝近い陽の中に處女の移り香がほんのりたゞよつて、血飛沫のあとを超えてなまめきます。
樣子やうすくと、汽船會社きせんぐわいしや無錢たゞ景物けいぶつは、裏切うらぎられた。うも眞個ほんたうではないらしいのに、がつかりしたが、とき景色けしきわすれない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この話をば、ほと/\道の曲りめごとにさらへ行くほどに、賣漿婆みづうりばゞはをぢが長物語のむくいに、檸檬リモネ一杯ひとつきたゞにて與へ、をぢと我とに分ち飮ましめ、又別に臨みて我にさねの落ち去りたる松子まつのみ一つ得させつ。
故に未だ其底蘊を罄ざる者鮮しと為さず、たゞ人をして医道の真面目を知らしめんと欲するに急にして、にわかに剞劂きけつに附し、れを天下に公けにす。今自ら之を観れば、慙愧ざんき殊に甚だし。
杉田玄白 (新字新仮名) / 石原純(著)
一目見るより此奴こやつ容易よういならざる不敵の者なれば尋常じんじやう糺問たゞしにては事實じじつはくまじと思はれしによりかく氣長きながさとしながら糺問たゞされしなりしかりといへども長庵は何事も曾て存ぜずと而已のみ申立口を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おさせるに及ず是は其身の中ほねはしにて證印しよういんす事なれば爪印は輕からぬ儀ゆゑ猶一通りたゞされ然るべく存ずる也とあるにぞ理左衞門は是非なく九助に向ひコリヤ九助其方儀此程爪印の節てのひら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
京水は水津本を重視し、これを藉り来つて錦橋本のあやまりたゞさうとした。水津本は記載素樸にして矯飾の痕が無い。京水の重視したのも尤である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「禍福自然応有時。風花雲月各相宜。古人言尽人間事。推枕軒中聴雨詩。」前詩を見れば蘭軒はたゞに酒を廃するのみならず
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
髪は塵埃ほこりまみれて白け、面は日に焼けて品格ひんなき風采やうすの猶更品格なきが、うろ/\のそ/\と感応寺の大門を入りにかゝるを、門番尖り声で何者ぞと怪み誰何たゞせば、吃驚して暫時しばらく眼を見張り
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
黄生『香玉かしまだちて後は寝食倶に廃しぬ。たゞ卿しばしとどまりて、この物憂き思ひを慰めてもあるべきに、何ぞふり放て行くや』
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)