たゞ)” の例文
よくたゞしてると、しかく平氣へいきをとこも、時々とき/″\歡樂くわんらく飽滿はうまん疲勞ひらうして、書齋しよさいのなかで精神せいしんやすめる必要ひつえうおこるのださうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かたぶ其許そのもと何時いつ江戸へ參られしやととふに彦三郎は今朝こんてう福井町へちやくすぐに承まはりたゞし只今爰許こゝもとへ參りしと申ゆゑ彌々いよ/\合點行ず段々樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
圖「いや犬になって来た此の書面は海禪坊主の書いた書面でも有ろうけれど、どうも手前はいぶかしい、これ/\此奴こいつを縛ってなたゞして見ろ」
我は之を見て後、温泉場に至りて、晝飯を喫し、温泉の所在を主婦にたゞせば、傍に間道を指して、其處へ行き給へといふ。
日光山の奥 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
こは必ず君なるべしとおもひて、人に問ひたゞし候へば、果してまがふかたなき我戀人にておはしましき。友なるおうなは消息して君を招き候ひぬ。
こゝにミノス恐ろしきさまにて立ち、齒をかみあはせ、入る者あれば罪業ざいごふたゞし刑罰を定め身を卷きて送る 四—六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
くだんの貞盛は、追捕を免れて跼蹐きよくせきとして道に上れる者也、公家はすべからく捕へて其の由をたゞさるべきに、而もかへつて理を得るの官符を給はるとは、是尤も矯飾けうしよくせらるゝ也。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
そのやうやす書物しよもつむかつても意味いみ容易よういとれない、もつと直譯ちよくやくしてときはどうかわかつてるらしいが、あと如何どん意味いみかとたゞしてるとほとんわかつてないやうである。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
 御若冠の時とは申ながら、賢者けんしやきこえある重臣の 菅公を時平大臣おとゞが一時の讒口ざんこうを信じ玉ひて其実否をもたゞし玉はず、卒尓そつじに菅公を左遷させんありしは 御一代の失徳しつとくとやいふべき。
先ず父子の礼を執って一旦帝都を退き給い、讒者の実否をたゞされるのが順序ではござりますまいか、それには今宵志賀の山越えに東坂本へ移らせ給え、しかしそれでもお疑いが晴れず
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
しもに向いてたゞしても、かみに向いて訴へても、何の效果も見えなかつた。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
たゞす役目なり奉行ぶぎやうには依怙贔屓えこひいきありてそれがしばかり片落かたおとしに爲給したまふならんと言せもはて大岡殿おほをかどの發打はつた白眼にらま依怙贔屓えこひいきとは慮外りよぐわい千萬なり此梅を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小六ころく宗助そうすけきるすこまへに、何處どこかへつて、今朝けさかほさへせなかつた。宗助そうすけ御米およねむかつて別段べつだんその行先ゆくさきたゞしもしなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この時に乘じて自在に翼を振ひ、權夫に引かれてコルソオをそゞろありきし給ふ。君よ。我は刑法第十六章第二十七條に依りて、君が罪をたゞさんとす。
図らずお柳の懐妊の年月ねんげつが分ったので、幸兵衛が龜甲屋へ出入を初めた年月としつきたゞすと、懐妊した翌月よくつきでありますから、長二は幸兵衛のたねでない事は明白でございますが
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
 御若冠の時とは申ながら、賢者けんしやきこえある重臣の 菅公を時平大臣おとゞが一時の讒口ざんこうを信じ玉ひて其実否をもたゞし玉はず、卒尓そつじに菅公を左遷させんありしは 御一代の失徳しつとくとやいふべき。
けれどもかれ自身じしん家主やぬしたく出向でむいてそれをたゞ勇氣ゆうきたなかつた。間接かんせつにそれを御米およねふことはなほ出來できなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其方儀そのはうぎ重四郎を同宿大津屋ゆう方へ入夫致させ候せつ身元みもとをもたゞさず世話致し候段不行屆ふゆきとゞきに付過料くわれうとしてぜに三貫文申付る
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さるを僥倖げうかうにもその夕我を尋ねし人なく、又我が在らぬを知りたるは、例の許を得つるならんとおもひて、深くも問ひたゞさで止みぬ。我が日ごろの行よくつゝしめるかたなればなりしなるべし。
三四郎は念のため、それは君の意見か、協会の意見かとたゞして見た。与次郎は、無論僕の意見であつて、協会の意見であると都合のいゝ事を答へた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
代助は、ちゝがあらゆる世界に対してよりも、自分に対して、性急であるといふ事を知つてゐるので、ことによると、帰つたあとからすぐ使つかひでもこしはしまいかと恐れてたゞしたのであつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
平生なら御とうさんが呼び付けて聞きたゞす所だけれども、今日けふかほを見るのがいやだから、此方こつちから行つて実否をたしかめていと云ふ訳でたのだ。それで——もし本人に弁解があるなら弁解を聞くし。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)