“塵埃”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ほこり40.9%
じんあい29.8%
ごみ13.5%
ちりほこり4.7%
ぢんあい3.3%
ちり2.3%
ちりあくた1.4%
ぼこり0.9%
あか0.5%
あくた0.5%
けがれ0.5%
ごみくた0.5%
ちりひぢ0.5%
ちりぼこ0.5%
ちりぼこり0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
銀さんは前垂の塵埃ほこりを拂ひながら、奧の藏の方から出て來て、庭で荷造りする人達の間などを通りましてそれから私の方へ來ました。
教授は手袋の外側と内側とに附着した塵埃じんあいを顕微鏡で検査しましたけれど、これという特徴あるものの発見はなかったのであります。
新案探偵法 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
不意に辻の六蔵の声、橋の袂から飛び降りると、町内の人達が捨てた塵埃ごみを一と抱えさらって、私とお若の頭の上からサッと掛けます。
常には目立たぬ塵埃ちりほこりが際立つて目につく、職員室の卓子テーブルの上も、硯箱やら帳簿やら、皆取片付けられて了つて、其上に薄く塵が落ちた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
通された二階は全部雨戸が閉ざされて俄に引きあけた一室には明るく射し込んだ夕日と共に落ち溜つた塵埃ぢんあいの香がまざ/\と匂ひ立つた。
「よツぽど早うおましたで、ちいと増してやつとくなはれ。」と、ろくに汗もかゝねば疲れた風もなくて、車夫は腿引もゝひき塵埃ちりを沸ひ/\言つたが
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
その中の一ツは出入りの安吉やすきちという植木屋が毎年々々手入ていれの松の枯葉かれは、杉の折枝おれえだ、桜の落葉、あらゆる庭の塵埃ちりあくたを投げ込み、私が生れぬ前から五六年もかかってようやくに埋め得たとう事で。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
二百十日の蒸暑い風が口の中までジャリ/\するように砂塵埃ぼこりを吹き捲って夏けのした身体からだは、唯歩くのさえ怠儀であった。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
しかし塵埃あかたまるから、始終いつもそれを綺麗に掃除しておかねばならない、ということばは、たいへん意味ふかいものです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
かくて、永い年月を経た後、皆から愚者と冷笑された周利槃特は、ついに自分おのれの心の垢、こころの塵を除くことができました。煩悩まよい塵埃けがれを、スッカリ掃除することができました。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
微々ちいさな小諸の銀行を信州一と言われる位に盛大おおきくなすった程の御腕前は有ながら、奥様の為には一生の光栄ほまれ塵埃ごみくた同様に捨てて御了いなすって
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
身は塵埃ちりひぢ八重葎やへむぐら
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
道の両側りょうがわはいつのまにか、ごみごみした町家ちょうかに変っている。塵埃ちりぼこりにまみれたかざり窓と広告のげた電柱と、——市と云う名前はついていても、都会らしい色彩はどこにも見えない。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、そういう品々は、十数年間人の手によって、手入れをされたことがないと見え、び、よごれ、千切れ、こわれ、塵埃ちりぼこりにさえも積もられていた。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)