塵埃ぼこり)” の例文
二百十日の蒸暑い風が口の中までジャリ/\するように砂塵埃ぼこりを吹き捲って夏けのした身体からだは、唯歩くのさえ怠儀であった。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
凡そあらゆる速力と物音とを失って、麗らかな日ざしを宿したうす塵埃ぼこりのかげろうの底で、静かに蠕動するそのたあいもない姿を、私はこの上もなく愛した。
風船美人 (新字新仮名) / 渡辺温(著)