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塵埃
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ごみ
ふりがな文庫
“
塵埃
(
ごみ
)” の例文
不意に辻の六蔵の声、橋の袂から飛び降りると、町内の人達が捨てた
塵埃
(
ごみ
)
を一と抱えさらって、私とお若の頭の上からサッと掛けます。
新奇談クラブ:07 第七夜 歓楽の夢魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その縮れた豚の油は露路から流れて来る
塵埃
(
ごみ
)
を吸いながら、遠くから伝わる荷車の響きや人の足音に絶えずぶるぶると
慄
(
ふる
)
えていた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
今のいままで
笊
(
ざる
)
の川ながれ
塵埃
(
ごみ
)
の
集結
(
かたまり
)
と見えていた丸い物が、スックと水を抜いて立ちあがったのを眺めると、裸ん坊の泰軒先生!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
塵埃
(
ごみ
)
も
残滓
(
かす
)
もそれぞれの時代の歴史性に従って残しつつ更に大きなプラスを持って積極的な進歩のための役割を果すものである。
ヒューマニズムへの道:文芸時評
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
地を這ふ
爬虫
(
むし
)
の一生、
塵埃
(
ごみ
)
を
嘗
(
な
)
めて生きてゐるのにも
譬
(
たと
)
ふれば譬へられる。からだは立つて歩いても、心は多く地を這つて居る。
文学に現れたる東北地方の地方色:(仙台放送局放送原稿)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
▼ もっと見る
風呂
(
ふろ
)
を
焚
(
た
)
いてゐましてね、
何
(
なに
)
か、
嗅
(
か
)
ぐと
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱ
)
り
石炭
(
せきたん
)
でしたが、
何
(
なん
)
か、よくきくと、たきつけに
古新聞
(
ふるしんぶん
)
と
塵埃
(
ごみ
)
を
燃
(
も
)
したさうです。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
風雨に曝らされた板壁の様子や床に積もった
塵埃
(
ごみ
)
から推すと、三年、五年、もっと
以前
(
まえ
)
から小屋は造られてあったものらしい
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
また嘗て事實天の聲を聞いた人の誰が一體そのお召しに
適
(
かな
)
ふものだといふ自信を持ち得るでせう? 例へば僕などは
塵埃
(
ごみ
)
か灰に過ぎない身です
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
一杯
蜘蛛
(
くも
)
の
網
(
す
)
、山のやうに積つた
塵埃
(
ごみ
)
、ぷんと鼻を
撲
(
う
)
つて来る「時」の臭ひ、なつかしく思つて明けては見たが、かれはすぐその扉を閉めて了つた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
そうしてそれがやがて
蟹
(
かに
)
のように醜い、シャチコ張った人間の両手に見えて来ると、その次にはその両手の間から
塵埃
(
ごみ
)
だらけになった五分刈の頭が
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大掃除の日は、
塵埃
(
ごみ
)
を山のように積んだ荷馬車が三吉の家の前を通り過ぎた。畳を
叩
(
たた
)
く音がそこここにした。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
江戸に火事があると焼跡に
釘拾
(
くぎひろ
)
いがウヤ/\出て居る。所で
亜米利加
(
アメリカ
)
に行て見ると、鉄は丸で
塵埃
(
ごみ
)
同様に棄てゝあるので、どうも不思議だと思うたことがある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私たちの入った門は半分
丈
(
だ
)
けは
錆
(
さ
)
びついてしまって、半分だけが、
丁度
(
ちょうど
)
一人だけ通れるように開いていた。門を入るとすぐそこには
塵埃
(
ごみ
)
が山のように積んであった。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
下谷青石横町の露路裏のドンヅマリの、
塵埃
(
ごみ
)
すて場の前にいたが、
隣家
(
となり
)
の女髪結さんから夜中火事を出して、髪結さんは荷物を運び出してしまってから騒ぎだした。
旧聞日本橋:11 朝散太夫の末裔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
塵埃
(
ごみ
)
だらけの土産物店の
硝子
(
ガラス
)
箱、その中の銅製花瓶、象形文字の敷物、ダマスカス鉄の小武器、すふぃんくす形の
卓灯
(
スタンド
)
、金箔塗りの装飾網、
埃及柱
(
オベリスク
)
を
象
(
かた
)
どった鉛筆
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
あらゆる欠点の魅力をのぞけば
塵埃
(
ごみ
)
のやうな女だつた。二人は、行き交ふ万人の男女に心を惹かれてきたよりも、もつと稀薄な恋心で、いはば獣の情慾で露骨に結び合つたのだ。
Pierre Philosophale
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
少し間の
延
(
の
)
びた顏をしてゐる者があツたら、
突倒
(
つきたふ
)
す、
踏踣
(
ふみのめ
)
す、
噛付
(
かみつ
)
く、かツ
拂
(
ぱら
)
ふ、
唸
(
うな
)
る、
喚
(
わめ
)
く、慘
憺
(
たん
)
たる
惡戰
(
あくせん
)
だ。だから
汗
(
あせ
)
と
垢
(
あか
)
とが
到處
(
いたるところ
)
に
充滿
(
いつぱい
)
になツてゐて、東京には
塵埃
(
ごみ
)
が多い。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
まあ
其辺
(
そこら
)
の
塵埃
(
ごみ
)
の無さゝうなところへ坐つて呉れ、油虫が這つて行くから用心しな、野郎ばかりの家は
不潔
(
きたない
)
のが
粧飾
(
みえ
)
だから仕方が無い、
我
(
おれ
)
も
汝
(
おまへ
)
のやうな好い嚊でも持つたら
清潔
(
きれい
)
に為やうよ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
人間の
塵埃
(
ごみ
)
棄場、あらゆる犯罪の巣窟だったが、ベルチョン博士が鑑識課長——後、嘱託——となると同時に、犯罪者は漸く姿を隠して、防止と検挙の実績が統計的に上った事実に徴しても
ロウモン街の自殺ホテル
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
痩せこけた頬に
些
(
さ
)
の血色もない、
塵埃
(
ごみ
)
だらけの短い袷を著て、
穢
(
よご
)
れた白足袋を穿いて、色褪せた花染メリンスの女帶を締めて、赤い木綿の
截片
(
きれ
)
を頸に捲いて……、俯向いて足の
爪尖
(
つまさき
)
を瞠め乍ら
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ふと箒の先に思わぬ力がはいって折りから掃きためてあった
塵埃
(
ごみ
)
が飛んで、ちょうど前を歩いていた人の裾から
足袋
(
たび
)
へしたたかかかった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
塵埃
(
ごみ
)
や紙屑や、瀬戸物の破片、縄端、木片などが散らばり、埋め、短い青草の禿げている空地。校庭から子供達がときどきそこへ転り込んで行った。
都会地図の膨脹
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
それに山の手は霜柱が深く立つて、
塵埃
(
ごみ
)
が散ばつても、紙屑が風に吹き寄せられても、それを掃くことも出来ない。
樹木と空飛ぶ鳥
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
泥溝
(
どろどぶ
)
の中へ
塵埃
(
ごみ
)
がぱッと投げ込まれると、もうお杉の頭からは、
忽
(
たちま
)
ち母親の姿は消えてしまって夜ごとに変る客たちの顔が、次から次へと浮んで来た。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
古莚
(
ふるむしろ
)
に山と積んだ、汚ない細かい
鉄屑
(
かなくず
)
が
塵埃
(
ごみ
)
と一緒に
箕
(
み
)
で釜の中へはかりこまれると、ギラギラした銀色の重い水に解けてゆくのを、いくら見ていても
厭
(
あ
)
きなかった。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
まあそこらの
塵埃
(
ごみ
)
のなさそうなところへ坐ってくれ、油虫が
這
(
は
)
って行くから用心しな、野郎ばかりの家は
不潔
(
きたない
)
のが
粧飾
(
みえ
)
だから仕方がない、
我
(
おれ
)
も
汝
(
おまえ
)
のような好い
嚊
(
かか
)
でも持ったら
清潔
(
きれい
)
にしようよ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
痩せこけた頬に
些
(
さ
)
の血色もない、
塵埃
(
ごみ
)
だらけの短かい袷を着て、
穢
(
よご
)
れた白足袋を穿いて、色褪せた花染メリンスの女帯を締めて、赤い木綿の
截片
(
きれ
)
を頸に捲いて、……俯向いて足の爪尖を
瞠
(
みつ
)
め乍ら
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それは、大学の芝生で、
街頭
(
プロムナアド
)
で、キャフェで、その他あらゆる近代的設備の場所で、降るともなく積もるともなく飛び交す、
塵埃
(
ごみ
)
のように素早い視線の雪だ。一番自由な、無責任な滑走が得られる。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
亭主は四十五六位の正直な男で、せつせと
箕
(
み
)
で大豆や
小豆
(
あづき
)
に雑つてゐる
塵埃
(
ごみ
)
を
振
(
ふる
)
つてゐるのを人々はよく見かけた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
間もなく、あちこちの窓から泥溝へ向って
塵埃
(
ごみ
)
が投げ込まれた。鶏の群は塵埃の舞い立つたびごとに、黄色い羽根を拡げてぱたぱたと裏塀の上を飛び廻った。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「勿体ねえって云うんなら、住宅にすんのこそ勿体ねえ話だ。畠にして置けえあ、それこそいろんな食う物が湧いて来るのにさ。住宅にして了ったら、せえぜえ、
塵埃
(
ごみ
)
が関の山だべ。」
都会地図の膨脹
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
高いところなら猫の額でも山という名をつけたがるのが
万事
(
よろず
)
に大袈裟な江戸者の癖で、御他聞に洩れず半ば
塵埃
(
ごみ
)
捨場のこの小丘も、どうやら見ようによってはそうも見えるというので
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
一時間ほどたって婆さんが裏に
塵埃
(
ごみ
)
を捨てに行った時には、縁台の上の客は足をだらりと地に下げて、顔を
仰向
(
あおむ
)
けに口を少しあいて、心地よさそうに寝ていたが
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
立ちどまったついでに、ぽんぽんからだの
塵埃
(
ごみ
)
をはたきながら
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
“塵埃”の意味
《名詞》
ちりやほこり。ごみ。
よごれ、わずらわしいこと。俗世間。俗事。
(出典:Wiktionary)
塵
漢検準1級
部首:⼟
14画
埃
漢検1級
部首:⼟
10画
“塵埃”で始まる語句
塵埃箱
塵埃塗
塵埃塚
塵埃屋
塵埃屑
塵埃溜
塵埃除
塵埃棄場
塵埃溜場
塵埃焼却場