“以前”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
もと33.1%
いぜん24.4%
まえ20.1%
まへ6.0%
むかし4.3%
まえかた2.3%
さき2.3%
せん1.7%
これまで1.0%
まえまえ1.0%
このまえ0.7%
このまへ0.7%
さっき0.7%
あと0.3%
めえかた0.3%
かみ0.3%
まえがた0.3%
まへかた0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
清之介君は頭を抱えて再び以前もとの姿勢に戻っていた。妙子さんは身をくねって覗き込み、机の上にポタ/\と涙が落ちるのを見た時
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
したがつてわたしは、以前いぜん同郷的愛着どうきやうてきあいちやく同藩的偏見どうはんてきへんけんうしなつたとおなじやうに、いま次第しだい國民的愛着こくみんてきあいちやく國家的偏見こくかてきへんけんうしなつたのであつた。
と燈火の光なのであろう、橙黄色だいだいいろのほのかな光が、以前まえのようにすぐに眼に映り、つづいてその中に浮いている白い女の顔が見えた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
以前まへの室から、また二人廊下に現れた。洋服を着た男は悠然ゆつたりと彼方へ歩いて行つたが、モ一人は白い兎の跳る様に駆けて来ながら
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
もっといまより以前むかしのほうが輪をかけてよけい酔った。——が、酔っても、いくら酔っても正体をなくすということはなかった。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
この屋敷に相違ない! 妾が以前まえかた送られて来て、酒顛童子のようなお爺さんに、恐ろしい目に逢わされた屋敷! それはここだ
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ロミオ なう、しかってくださるな。此度こんどをんなは、此方こちおもへば、彼方あちでもおもひ、此方こちしたへば、彼方あちでもしたふ。以前さきのはさうでかった。
またいつのまにか以前せんのように、右岸には大きな工場が立ち並び、左岸には低いきたない小家がぎっしりと詰まって、相対しながら掘割をはさんでいるのだった。
花を持てる女 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
以前これまでの拙者なりゃ、その方より紙帳へ近附いたからには憂き目を見たは自業自得と、突っ放すなれど、現在いまの拙者の心境こころではそれは出来ぬ。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
裏切りの事情を知ってからは彼はどうしてもお吉に対して以前まえまえ通り優しい言葉や温かい態度を示すことが出来ず、久しぶりでこの地へ帰り着いてからも
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「情死じゃアねえが、大方痴戯いたずらはてだろうよ」「いや、菊屋のかみさんが残酷ひどいからだ、以前このまえもあそこの下女で井戸へ飛んだ者がある」
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『マア、以前このまへうちいらしつた癖に、…………薄情な人ね、此方は。』
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
以前さっきの樫の森から東側へかけて、夕方まで探していたが、最早もはや日が暮れかかってもそれらしい影は愚か、小雀ことり一羽眼に這入らぬから、皆落胆がっかりして疲れ切ってしまって
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
○「いえ、そら久しい以前あと絵に出た芳年よしとしいたんで、鰐鮫わにざめを竹槍で突殺つッころしている、鼻が柘榴鼻ざくろッぱなで口が鰐口で、眼が金壺眼かなつぼまなこで、えへゝゝ御免ねえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
陸稻をかぼともはんねえもんだな、以前めえかたちがつていま時世ときよぢやさうだからこんで場所ばしよによつちや、百姓ひやくしやうにもたえしたころびがあるのよなあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
されど源叔父げんおじが家一軒ただこの磯に立ちしその以前かみの寂しさを想いたまえ。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
かつて以前まえがた兄とも思われる、十二神貝十郎の屋敷内に、この人と住んだことがあり、最後に上様とお逢いした日、昼のうちは百姓家へ、夜に入っては異国風の屋敷へ——狂える彼女にはその屋敷が
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
以前まへかた訳のあつた女の名前も時々ちよい/\忘れる事があるやうに、名高い仏様のお名前もどうかすると想ひ出せない事があるものだ。)