“既知”の読み方と例文
読み方割合
きち100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
堀のためには、中泉が英太郎の手から受け取つて出した書付かきつけの内容は、未知みちの事の発明ではなくて、既知きちの事の証験しようけんとして期待せられてゐるのである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
その作用線のうちで、既知きちのしかも今までに知り得た唯一ゆいいつのもの、即ち光はこの場合問題にならない。それで全く未知の作用線を探す必要があるが、それは全然見当がつかない。
千里眼その他 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それは一応絶望の人の言葉には聞えたが、そのひびきには人生の平凡を寂しがるうらみもなければ、絶望からね上って将来の未知を既知きちページって行こうとする好奇心こうきしんも情熱も持っていなかった。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)