“きち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
62.4%
機智12.9%
窺知12.9%
既知3.5%
危地2.4%
基地1.2%
奇智1.2%
愧耻1.2%
機知1.2%
気違1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
薩軍の池辺いけべきちろうは、試みに、勧降状かんこうじょうを矢にむすんで、諸所の防寨ぼうさいに射込ませてみたが、ひとりの城兵も、降伏して出て来なかった。
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何を以てか俳句本来の面目となすや。仏教的哀愁と都人とじん特有の機智きち諧謔かいぎゃく即ちこれなり。この二者あつて初めて俳諧狂歌は生れ来りしなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
勃然ぼつぜんとしてその深奥しんおうにして窺知きちすべからざる、巧妙なる、美妙なる、奇妙なる、霊妙なる、麗質を、惜気もなく発揚しおわった。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その作用線のうちで、既知きちのしかも今までに知り得た唯一ゆいいつのもの、即ち光はこの場合問題にならない。それで全く未知の作用線を探す必要があるが、それは全然見当がつかない。
千里眼その他 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
忍剣は、どんな危地きちに立っても、けっしてうろたえるような男ではない。ただ、伊那丸の身をあんじてあせるのだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すきを見て、三人は死にものぐるいのすばやさでもってロープをよじのぼり、むがむちゅうで地下道をかけぬけ、密林をかきわけ、ようやく海岸の基地きちへたどりついた。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
仕事をなまけ、いささかの奇智きちろうして悪銭を得ては、若年の者どもに酒をふるまい、兄貴は気前がよいと言われて、そうでもないが、と答えてまんざらでもないような大馬鹿ばか者のひとりであった。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
深井は得意の絶頂から、忽ちにして愧耻きちのどん底に放り込まれた。
(新字旧仮名) / 久米正雄(著)
こういって、やおら席につくと、われるような拍手はくしゅが起こって、人々は口々に、その紳士の機知きち賞讃しょうさんしました。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
重兵衛 (呆れたように。)まるで気違きちげえのようだな。じゃあ、まあ、勝手にしろ。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)