“せん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:セン
語句割合
25.8%
15.7%
10.3%
9.6%
7.0%
3.6%
3.4%
2.2%
2.1%
1.7%
1.3%
1.3%
1.1%
1.0%
0.9%
0.8%
0.7%
0.7%
0.7%
0.7%
0.5%
以前0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
先日0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
煎餅0.1%
0.1%
罽氈0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
澤は、自分と同じような恵まれない境遇にる養子に対して、素直な同情はせんから持っていたが、恋らしい心持は最近までなかった。
九月一日 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
人は自分のすべきことをさへすればいい、われわれが貴様を責めるのも、勿論のこと、ひまだからだ、とせんじ詰めた処さういふのだな。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すなわち、ドア向うの壁に、三つ並んでいる洗手台のせんを開け放しにして、そこから溢れてくる水に、自然の傾斜を辿たどらせたのだった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかしそれは今更後悔致し候とて何のせん無之これなく候えば、貴兄と同様今後いかに処すべきかを定め、それによって奮励するのほかなく候
師を失いたる吾々 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「だがさし当たりわたしたちは一せんの金も、一かけのパンもなしに、パリのどぶの中にてられている……おまえおなかがすいたろう」
周瑜は、からくも馬を拾って、飛び乗るや否、門外へ逃げ出したが、一せんの矢うなりが、彼を追うかと見るまに、グサと左の肩に立った。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正直しょうじきな、やさしいかみなりは、くろい、ふと一筋ひとすじ電線でんせんが、空中くうちゅうにあるのをつけました。そして、注意深ちゅういぶかく、そのせんうえりました。
ぴかぴかする夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
せんと云う下女が来て、昨夕ゆうべ桂川かつらがわの水が増したので門の前の小家こいえではおおかたの荷をこしらえて、預けに来たという話をした。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
探険家はだれかというと、川上一郎君、すなわちポコちゃんと、やま万造まんぞう君、すなわちせんちゃんと、この二人の少年だった。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
火入ひいれにべた、一せんがおさだまりの、あの、萌黄色もえぎいろ蚊遣香かやりかうほそけむりは、脈々みやく/\として、そして、そらくもとは反對はんたいはうなびく。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
上田敏さんは、多くの象徴詩篇を翻訳して、「海潮音」をせんしたのである。これが、日本象徴詩の早期に於ける美しいしあげ作業であった。
詩語としての日本語 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
言いつつ、射て放ったはまことに早矢の達人らしく一せん! 二箭! 飛んだかと見るまにヒュウヒュウと藩士の身辺におそいかかりました。
地中海面より低きこと二百五十フイート、乾ける湖の如く、一面麦熟れて黄金こがねせんを敷く。パレスタインに来りて今日初めて平野を見、黒土の土らしき土を見る。
保吉は絶体絶命ぜったいぜつめいになった。この場合唯一ゆいいつ血路けつろになるものは生徒の質問に応ずることだった。それでもまだ時間が余れば、早じまいをせんしてしまうことだった。
保吉の手帳から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
せんの家内といふのは、矢張やはり飯山の藩士の娘でね、我輩のうちの楽な時代にかたづいて来て、未だ今のやうに零落しない内にくなつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
一本のくぎから大事件が生ずるように、青魚さばの煮肴が上条の夕食のせんのぼったために、岡田とお玉とは永遠に相見ることを得ずにしまった。そればかりでは無い。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
音楽の名をせんしてるいばらや枯れ葉の中に、少数の音楽家らの素朴なしかも精練された芸術を、彼はオリヴィエに助けられて見出した。
その結果、利を獲たものは、実に、呉でもなく魏でもなく、いまや蜀漢二せんの地を占めている玄徳ではありますまいか。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
思うに、ここの味方内から離反者が簇出ぞくしゅつしたばかりでなく、せつせんいったいにわたる日和見ひよりみ的な武族もまた
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでも塩水せんをかけたので恰度ちょうどあったから本田の一町一たん分には充分じゅうぶんだろう。とにかくぼくは今日半日で大丈夫だいじょうぶ五十円の仕事しごとはしたわけだ。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
身輕手輕とそればかりをせんにしたる旅出立たびでたちなれば二方荒神の中にすくまりてまだ雨を持つ雲の中にのぼる太華山人其のさぶさを察し袷羽織あはせばおり
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
この間も、新富座しんとみざへ乗込みのときは、以前せんの通りに——かつらだったけれど——楽屋下地に結って、紫のきれを額にかけて、鼈甲べっこうかんざしをさして、お振袖で、乗組んだのだと。
かつて御史ぎょしありてせいの自らもっぱらにすることをがいしけるに、帝かずして曰く、人に任ずるせんならざれば功を成すあたわず、いわんや大将は一辺を統制す、いずくんぞく文法にかかわらんと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
けれど、孔明の一せん一扇は不思議な変化を八門の陣に呼んで、攻めても攻めてもそれは連城の壁をめぐるが如く、その内陣へ突き入る隙が見出せなかった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その外に梅の糸といって上品なお菓子がございますがそれは豊後梅ぶんごうめの青いのを大根や里芋のせんのように極くこまかい繊にって塩漬にしておしを置いて食べる時水で塩出しをして砂糖を
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
川島郷の七人衆の原士、あの方々も寛永かんえいの昔、島原しまばらの一せんがみじめな敗れとなった時、天草灘あまくさなだから海づたいに、阿波へ漂泊ひょうはくしてきた落武者の子孫なのでございました。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぼくぼくで名人けつせん觀戰記くわんせんきを書き力に相當加ふるものありとうぬれて、共にり切つてゐるのだからたまらない。
向こう見ずなその男——太史令たいしれい司馬遷しばせんが君前を退くと、すぐに、「全躯保妻子くをまっとうしさいしをたもつの臣」の一人が、せん李陵りりょうとの親しい関係について武帝の耳に入れた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
説教台ブルビットのうへのささやかな典籍。これは弥撒書みさしよといふよりも、翻波ほんぱ式の平脱鏡へりだつきよう。僧侶といふよりも、げてものの化仏けぶつ。とんちんかんに並んだゐねむりせんとでも。——
希臘十字 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
十二月除夕じょせき枕山は再び長谷川昆渓と相携えて池の端の松源楼に歳をせんした。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
当時流行のせんたん花ガスは、花のかたちをした鉄の輪の器具の上で、丁度現今いま、台所用のガス焜炉こんろのような具合に、青紫の火を吐いて、美観を添え、見物をおったまげさせていたのだ。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
竹下氏は朝鮮がわらの蒐集家として聞えているが、その蒐蔵の中には多くの見事なせんや瓦の外に、菓子型、筆筒ひっとう真鍮しんちゅう香炉こうろなど優品が多い。いずれも忘れ難いものであった。
全羅紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
沢崎の手紙は罫引けいひきの書簡せん一枚へ(先日幸子が未亡人のもとで見せられたのは巻紙へ毛筆でしたためてあったのに)
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
あなたはたくさん銀を持っていられるようだから、心得までに申しあげるのだが、フレガタせんに追いかけられて船を押えられたら、さからっても無駄である。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
せん」という両方に握りのついた刃物で竹の皮を削りながら、それが固い節にぶっつかるたびに、枯枝のような腕がしばらくトコロテンのようにふるえていた。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
それはちんせんぶつこんしんの五人であった。ある夜、渾の夢に父がきて
陸判 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「それもそうですけれどもな、老者おやじはまことにはやどうも。第一このせんさわりますのでな」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水鏡 道の幸 妙術博物せん 妙薬妙術集 民家必用永代大雑書三世相 民家分量記
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
正岡先生はこの絵ハガキを『仰臥漫録』とせんした帳面に張りつけて朝な夕なにながめておられたのであった。
呉秀三先生 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
画はすべて、微細にたたいた石面に直接描かれ、鋭いそして強い抑揚を持った線を主とし、色彩も豊富で、それがせん道から洩れる薄明りで妙に底光りしている。
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
日は丘のうへてゐて、頸筋くびすぢからむしり取つたせんのやうだ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
しかも双方共寄宿舎に這入はいっていたものだから、立花君や立花さんではまぎれやすくていけない。で一方は政樹という名だから政樹公と呼び、一方は銑三郎せんざぶろうという俗称だからせんさん銑さんと云った。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
什器は青銅で鋳たもので、酌源堂の文がせんしてある。其酒爵は聖堂に於て釈菜せきさいに用ゐるものを模したのである。川村氏は長崎の工人に命じて此什具を鋳造せしめた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そつとさし置たち出しが又立もどり熟眠うまひせし其顏熟々つく/″\打ながめ偶々たま/\此世で親と子に成しえにしも斯ばかりうすちぎりぞ情なし然どなんぢを抱へては親子がつひゑ死に外にせんすべなきまゝに可愛いとし我が子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
部屋へやしのばせたることを兄君に申上二人ともにこひ意恨いこん憂目うきめを見せて夫を腹慰はらいせせんと思ひし處兄上には我身と友次郎樣とをそれとなく其夜の中に落し給ひしかば夫より吾助はおろかにも兄君をうらかゝ大變たいへん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かつ、せんはたいへん才童であったとみえ、建興十二年、呉にある兄のきんに宛てて送っている彼の書簡にもこう見える。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孔明の家庭はまたしばらく寂寥せきりょうだったが、彼が四十五歳の時、初めて実子のせんをもうけた。晩年の初子だけに、彼がどんなによろこんだかは想像に余りあるものがある。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せんたる巧笑にわが命を托するものは必ず人を殺す。藤尾は丙午ひのえうまである。藤尾はおのれのためにする愛を解する。人のためにする愛の、存在し得るやと考えた事もない。詩趣はある。道義はない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
公叔文子こうしゅくぶんしの家臣であったせんは、大夫となって文子と同列で朝廷に出仕した。先師はそのことを知っていわれた。——
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
将門猶未なほいませんせずといへども、すでに叛したのである。純友の暴発もけだ此様かういふ調子なのであつたらう。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
つらいことも辛いだろうし口惜くやしいことも口惜しいだろうが、先日せんのように逃げ出そうと思ったりなんぞはしちゃあ厭だよ。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
木材はなんでもよいと云ったら、せんで作って来たので、非常に重い上に実用専一のすこぶる殺風景なものが出来あがりました。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
曰ふ、しやうはたるは、氣盛なる者之を能くす、而かも眞勇しんゆうに非ざるなり。孤城こじやうえんなきに守り、せん主を衆そむくにたもつ、律義者りちぎものに非ざれば能はず、故に眞勇は必ず律義者りちぎものに出づと。
かなわじと、あわてて馬の首をめぐらしかけた刹那、趙雲のするどい鎗は、すでに彼の体を突き上げて、一せん! 血をきこぼして、大地へたたきつけていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飛鳥あすか清原きよみはらの大宮に太八洲おほやしましらしめしし天皇の御世におよびて、潛龍元を體し、せん雷期にこたへき。夢の歌を聞きて業をがむことをおもほし、夜の水にいたりて基を承けむことを知らしたまひき。
為に、眠った間はほんのわずかであったが、それでも、大きな欠伸あくびを一つ放つと共に、夜来の疲れは頭から一せんされていた。そしてまた今夜も寝ずに頑張らなければならないと、ひそかに考えていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けんさつ、三しんせん緊々きんきん縮々しゅくしゅく、などという表字法にみても、別してこの裴如海はいにょかいひとりがそう傑出した色坊主であったわけでもあるまい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
笛吹川は甲武信岳の方から、釜無川は甲斐駒の方から、峡中を流れてかじか沢で合し、俄然大河の相を具現してえんに移りせんに変わり、とうとうの響きを打って東海道岩淵で海へ注ぎ込む。
香魚の讃 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
綾子はこれを見て見ぬふり、黙許してとがめざれば、召使のものはせんすべなく、お丹の命令に唯々諾々いいだくだく
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
恐かったよ、それでね、あたい、貰っといたお菓子だの、お煎餅せんだの、ソッとたもとン中へしまッとくの、そしてね、紙の上へ乗せて枕頭まくらもとへ置いとくの。そして鼠にね、お前、私をいじめるんじゃアありません。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
叡山の持宝房についたから試みにまず四教義しきょうぎを授けて見るとせんをさして質問をする。疑う処皆古来の学者たちの論議した処と同じである。まことにただ人ではないと皆が申し合った。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
府庫ふこうちには蜀江しよくこうにしき呉均ごきんあや氷羅ひようら罽氈せん雪穀せつこく越絹ゑつけんあげかぞふべからず。わう、こゝにおい傲語がうごしていはく、われうらむらくは石崇せきそうざることを、石崇せきそうまたしからんと。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
アカネは茜という字を書きますが、この字の音はせいではなくてせんでなければならぬ。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
古典には、せつせんみょう、というようないろいろな名前で書いてあって、疲労をいやし、精神をさわやかにし、意志を強くし、視力をととのえる効能があるために大いに重んぜられた。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
「身、五民ノ外ニ処シテ、或ハニヨク、或ハせんニヨシ、上ハ王皇ニ陪シテ栄ト為サズ、下ハ乞児きつじニ伍シテ辱ト為サズ、優游シテ以テ歳ヲをはルベキモノ、唯我ガ技ヲしかリト為ス……エヘン」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
のみならず、三面だけにルビを附けただけで、活字の少い所から仮名許り沢山に使つて、「釧路」のせんの字が無いから大抵「くし路」としてあつた。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ぼく皇甫こうほせいの者で、先祖からせんにいたのですが、今度家が野火に焼けたものですから、ちょっとの間此所を借りて住んでいるのです
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
又錦の馬せんふさはしきを犬の脊に打かけ、かの美人を乗せて、犬を叱して奔せしむるに、美人はみづから起ちて馬上さまざまなるしぐさを為して神変の技をしめす。
『聊斎志異』より (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)