せん)” の例文
東海道線とうかいだうせんやませんがつして鐵道線路てつだうせんろ右手みぎて臺地だいちがそれで、大井おほゐ踏切ふみきりからけば、鐵道官舍てつだうくわんしやうらから畑中はたなかるのである。
正直しょうじきな、やさしいかみなりは、くろい、ふと一筋ひとすじ電線でんせんが、空中くうちゅうにあるのをつけました。そして、注意深ちゅういぶかく、そのせんうえりました。
ぴかぴかする夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれはどこかの町で見かけた旅芸人たびげいにん所作しょさを思いうかべて、わざと、きょうをそえながら、つえでクルリと円形えんけいせんをえがいて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたし危険区域きけんくいきせんをこえない範囲はんいでよくさうふう悪戯あくぎためしをするのであつたが、しかしまた事実じじつさうかもれないとおもはれないこともなかつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
ばいでもむかしいま角度かくど幾分いくぶん相違そういしてゐるようですし、赤貝あかゞひでもせんかずすこかはつてゐるといふようなことが、貝塚かひづか貝殼かひがら調しらべてればわかります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
うしろ田圃たんぼでは、みづこけのわるにはつてるうちからゆきけつゝあつたので、畦畔くろ殊更ことさらしろせんゑがいてたつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さも/\おとろへたかたちで、永代えいたいはうからながつゞいてるが、いてせんくと、文明ぶんめい程度ていど段々だん/\此方こつちるにしたがうて、屋根越やねごしにぶることがわかるであらう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
温度おんどでいへば、同温度どうおんど地方ちほうをつなぎあはせたせん、すなはち同温線どうおんせん攝氏十三度せつしじゆうさんど以上いじよう二十一度にじゆういちど以下いかです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
第三の土偶どぐうは面の上下共凹みたるせんにて界されたれど、全体ぜんたいの形状境界の位置共ゐちとも他の土偶とひとしくして、示す所は同じく頭巾のへりにて面の上下をひたる形と思はる。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
三千代みちようつくしいせんを奇麗に重ねたあざやかな二重瞼ふたへまぶたを持つてゐる。の恰好は細長い方であるが、ひとみを据ゑてじつと物を見るときに、それが何かの具合で大変大きく見える。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さうぢや この運河を望遠鏡ばうゑんきやうで見ると このやうに あまり きれいにまつすぐなせんなんで
かくいてはいてはみすること五六回ごろつかいにして次第しだいおとろつひんでしまつた。あとには所々ところ/″\ちひさな土砂とさ圓錐えんすいのこし、裂口さけぐち大抵たいていふさがつてたゞほそせんのこしたのみである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
見わたすかぎり、目にうつるものは、市松いちまつもようばかりです。ななめになっているものもあれば、細長いものもありますが、どれもこれも、まっすぐのせんにかこまれた四角い形ばかりです。
かたからちちへとながれるほうずきのふくらみをそのままのせんに、ことにあらわのなみたせて、からこしへの、白薩摩しろさつま徳利とくりかしたようなゆみなりには、さわればそのまま手先てさきすべちるかと
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
あゝあのこゑ旦那樣だんなさま、三せん小梅こうめさうな、いつののやうな意氣いき洒落しやれものにたまひし、由斷ゆだんのならぬとおもふとともに、心細こゝろほそことえがたうりて、しめつけられるやうなるしさは
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
んでゐると、そのえた力におどろき、亦引摺ひきずられても行きますが、さて頁を伏せて見て、ひよいと今作者さくしやに依つてゑがかれた人物の心理しんりを考へて見ると、人物の心理のせんすぢけはきはめてあざやかに
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
太陽たいやうが、朝日あさひが、かれみづからが、やまそらとをかぎつたゆきせんに、そのかゞやおもてあらはしかけてゐた。ひかり直線ちよくせんをなしてその半圓はんゑん周圍しうゐつた。かれようとおもへばわたしをつぶらなければならなかつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
まどのすぐ外に、枯草にりよく草がまじつた土堤がつゞいてゐる、それがすばらしい速さで、せんをひきながらうしろへながれてゐる、かういふ風にあの時道の白さが足の下をながれてゐたと金太郎はすぐ聯そうした。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
あちらには、獰猛どうもうけものの、おおきいのごとく、こうこうとした黄色きいろ燈火ともしびが、無気味ぶきみ一筋ひとすじせんよる奥深おくふかえがいているのです。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まことにありがたがるくらゐではりないのである。は、亞鉛板トタンいたんで、送電線そうでんせん引掛ひきかゝつてるのが、かぜですれて、せん外被ぐわいひつたためにはつしたので。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勝入は、むこの武蔵守と、協議の末、さいごの——祐福寺ゆうふくじ明智あけちせんをえらんで、庄内川しょうないがわを渡りはじめた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
をんな五月繩うるさときには一時ちよつとをどりめて對手あひてしかつたりたゝいたり、しかその特性とくせいのつゝましさをたもつて拍子ひやうしあはなが多勢おほぜいあひだまれつゝどうせん反覆はんぷくしつゝをどる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
北朝鮮きたちようせんからは石器せつき土器どきますが、その土器どき南朝鮮みなみちようせんのものとはすこちがつて、どちらかといふと日本につぽん繩紋式土器じようもんしきどき多少たしようた、あらいせん模樣もようのあるのがるのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
さあ ごらん これが月の面をとつた写真しやしんだよ まん中の所に真つすぐなせんがあるだらう
第一、第二、第三の頸部には一二條のせんめぐらしたり。こは頭巾づきんと上着とあひ連續れんぞくする部分をばひもにて括りたる状ならん。是等三個の面部左右兩端めんぶさいうりやうはしには前後に貫通くわんつうする小孔各一個有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
しか大概たいがい蛇窪へびくぼ踏切ふみきりだい二のせんして、ぐと土手どてのぼつてくのである。
かれは、最初さいしょ純金じゅんきんほそせんでためしました。しかし、その音色ねいろは、あまりにんで、えきっています。つぎに、きんぎんこんじてほそせんつくりました。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
元來ぐわんらい——歸途きとせんをたよつて東海道とうかいだう大𢌞おほまはりをしようとしたのは、……じつ途中とちう決心けつしん出來できたら、武生たけふりてゆるされないことながら、そこから虎杖いたどりさと
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ぽつ/\とむらがつた村落むら木立こだちいづれもこと/″\あかいくすんだもつおほはれてる。さうしてひくあひせつして木立こだちとのあひだ截然くつきりつよせんゑがいてそらにくほどさえる。さうだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さてこの埴輪はにわはどういふものかといひますと、ほそ刷毛目はけめせんのはひつた赤色あかいろ素燒すやきでありまして、人間にんげんぞうはたいてい二三尺にさんじやくくらゐのたかさで、男子だんしもあり婦人ふじんもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
つて、それがだいそうぞくする舊貝塚きふかひづか(といふもへんだが)ともおもはれぬ。何故なぜならば、はいこんじて、細密さいみつくだかれたる貝殼かひがらが、貝層中かひそうちうに一せんかくして、またそうしてるからである。
たくさんせんが いてあるやうですね
かれは、このてつぎんとからできた、一筋ひとすじせんをオルガンのなか仕掛しかけました。すると、このオルガンは、だれがきいても、それは、愉快ゆかいたのであります。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふか眞緑まみどりつばさ晃々きら/\ひかつて、緋色ひいろせんでちら/\とつて、すそ金色こんじきかゞやきつゝ、見合みあふばかりにちうつた。おもはず、「あら、あら、あら。」と十八九のこゑてたさうである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ただ一つの機械きかいにはされなかったので、てつぎんとで、できた一筋ひとすじせんは、この音楽家おんがくかきたえられるよりは、ほかに、だれもつくることができなかったからです。
楽器の生命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だって、せんがついていないじゃないか。」と、孝二こうじが、あたりをまわしていました。
子供どうし (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで、正坊まさぼうは、やはり、うちまえって、あちらのやまをながめていました。あおそらしたやませんが、すそのほうへなだらかにながれている。よるになると、やまうえには、さびしくほしかがやいたのである。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わかい、健康けんこう男女だんじょは、それぞれ工場こうじょうへいき、活溌かっぱつはたらいたのですが、正吉しょうきちは、それらのひとたちとおなじことはできず、ある電気工場でんきこうじょうつとめて、体力たいりょくにふさわしい仕事しごととして、ニクロムせんいたり
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
電燈でんとうは二、三明滅めいめつしたが、せん切断せつだんされたとみえて、まったくえてしまった。うらおおきなさくらと、かしののほえるおとが、やみのうちでにものぐるいにたたかっているけもののうなりごえ想像そうぞうさせました。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おじさんは、ラジオの針金はりがねをぎりぎりととしちゃんの磁石じしゃくきました。つぎに、その二ほんせんはし電池でんち端子たんしむすびつけました。すると、電流でんりゅうつうじて、あおい、うつくしいが火花ひばなりはじめました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぴか、ぴかと、せんくごとくながれるのは、自動車じどうしゃでありました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、雨脚あめあしが、しろぎんせん無数むすう空間くうかんいていました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
せんぽんでも、まちがってはならぬのでした。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)