“全体”のいろいろな読み方と例文
旧字:全體
読み方割合
ぜんたい58.0%
ぜんてえ14.0%
ぜんてい10.0%
みんな6.0%
いったい2.0%
いつたい2.0%
すつかり2.0%
すべて2.0%
みな2.0%
ガンツェス2.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ことに去年きょねんからのここら全体ぜんたい旱魃かんばつでいま外へあそんで歩くなんてことはとなりやみんなへわるくてどうもいけないということを云った。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
長「何だか知りませんが、ひとの仕事を疑ぐるというのが全体ぜんてえ気にくわないから持って帰るんです、銭金ぜにかねに目をれて仕事をする職人じゃアございません」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何か釜の祝いと云って……全体ぜんてい男娼かげまを買って遊ぶのがいんですが、何か面白い趣向がありましょう
願くは、今自分の見て居るうちに、早く何処かの内儀おかみさんが来て、全体みんなでは余計だらうが、アノ一番長い足一本だけでも買つて行つて呉れればいいに、と思つた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
何の不義理な事も不人情な事もないもんじゃ。全体いったいこんな病気のした時ゃの、嫁の実家さとから引き取ってええはずじゃ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
それが、顔全体いつたいを恐ろしくして見せるけれども、笑ふ時は邪気あどけない小児こどもの様で、小さい眼を愈々小さくして、さも面白相に肩をゆする。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「あしきをはらうて救けたまへ。」の御神楽みかぐらうたと代り、大和の国の総本部に参詣して来てからは、自ら思立つてか、唆かされてか、家屋敷所有地もちち全体すつかり売払つて、工事費総額二千九百何十円といふ
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
富田さんなんか最早もう来なければい。日曜の晩にも来て真正ほんとううるさかった。私如何どうしてもの人は嫌い。お金があるってお母さんは仰有おっしゃるけれど財産ばかりが人間の全体すべてじゃない。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
歌の句が断々きれぎれに、混雑こんがらかつて、そそるやうに耳の底に甦る。『の時——』と何やら思出される。それが余りに近い記憶なので、却つて全体みなまで思出されずに消えて了ふ。四辺あたりは静かだ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
しかしいかに特異な個性も全体ガンツェスとしての人間である。意味価値のあるのは常に個性であるが、人間としてでなければそれは意義がない。
自己の肯定と否定と (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)