“真正”のいろいろな読み方と例文
旧字:眞正
読み方割合
ほんとう48.5%
しんせい15.2%
しんしょう9.1%
ほんと6.1%
ほんたう3.0%
しょう3.0%
ほん3.0%
ほんもの3.0%
まこと3.0%
まただ3.0%
ヴェールス3.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「その歯一本さ。歯一本と真正ほんとうに悟れば、虚心坦懐きょしんたんかい光風霽月こうふうせいげつ抜いて貰いながら所得税の申告も書ける。そこまで行かなければ駄目だよ」
小問題大問題 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そのとき貴方あなたひとに、解悟かいごむかいなさいとか、真正しんせい幸福こうふくむかいなさいとかうことの効力こうりょくはたして、何程なにほどうことがわかりましょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
および真正しんしょうを信ぜず、殺盗して罪をつくらば、畜生ちくしょう餓鬼がきの中に堕在し、つぶさに衆苦しゅくを受け、地獄を経歴せん、ゆえに塚塔中にあらずといわん
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
(たしかに、おかしい。あの兵士等の、鉄冑てつかぶとかぶようあやしい。姿勢も、よろしくない。うン、これは、真正ほんとの軍隊ではない。それならば、よオしッ)
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今は貴嬢あなた真正ほんたうに貴嬢の一心を以て、永遠の進退を定めなさるべき時機である、——愛の子か、のろひの子か——けれど君の姉さんが此際、撰択せんたくの道をあやまつ如き
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「そうだったらうれしいが、あまりうますぎて、真正しょうのこととは思えない」とつぶやいた。
重吉漂流紀聞 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「お光坊何を案じて居るの。何を考えて居るの。真正ほんのお父さんお母さんに逢いたいの。何が悲しいの。お泣きでないよ、わたしたちが見て居るよ」といい顔にじっと此方こちを眺めて居る。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
越前が、紀州を調べ、証拠品を押えて戻り、贋者と断じて、処分したとなれば、よし天一坊が、真正ほんものの御落胤であろうとも、人民の心には揺ぎがまいりませぬ。
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
冬の闇夜やみよに悪病を負う辻君つじぎみが人を呼ぶ声のいたましさは、直ちにこれ、罪障深き人類のみがたき真正まことの嘆きではあるまいか。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
口嗽ぎただちをろがみ、珠数かぞへ南無妙法蓮華経、かがなべて朝に五千、ひる過ぎて夕かけて三千、湯を浴み、御燈明みあかしけ、残りの二千、一万遍唱へつづけて、真正まただしくひと日もおちず、国のため
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
セント・ヘレナで死んだ似非プスウドナポレオンのそれではなく、一八三〇年に加奈陀で死んだ真正ヴェールスナポレオンのそれなのであろう。
フランス伯N・B (新字新仮名) / 久生十蘭(著)