“ほんとう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
真実43.7%
本統8.6%
真個7.9%
奔騰6.3%
真正5.3%
真当4.0%
本当3.3%
真箇3.3%
眞實2.6%
眞個2.0%
本當2.0%
奔濤2.0%
本島1.3%
1.3%
眞箇1.0%
事実1.0%
奔逃0.7%
真統0.7%
翻倒0.7%
真成0.3%
真相0.3%
本頭0.3%
眞心0.3%
眞當0.3%
真物0.3%
翻蕩0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
これからは私アもう、父様のおっしゃったことを真実ほんとうにしないからようござんす。一体父様は私をそんなに可愛がって下さらないわ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
そして果せる哉、本統ほんとうに伊勢鰕のように真赤な顔になった。乃公おれは困ったと思うと、富田さんが突然いきなり乃公の手を捉えたのには喫驚びっくりした。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
一つは、その為だが、二つには、領民のために、三つには、武士道のために——おごっている天下の人心を醒まして、ここに、真個ほんとうの武士あることを知らせるのだ
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
欧米人の為替ブローカーの馬車の群団は、一層その速力にむちをあてて銀行間を馳け廻った。しかし、金塊の奔騰ほんとうするに従って、海港には銀貨が充満し始めた。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
一つくちもうしたら、真正ほんとう神様かみさま人間にんげんとの中間ちゅうかんちてお取次とりつぎの役目やくめをつとめるのが人霊じんれい仕事しごと——。まあそれくらいかんがえていただけば、大体だいたいよろしいかとぞんじます。
僕あ男だもの……それに長く巴里パリに棲もうってのにこんなことぐらい平気にならなくっちゃ真当ほんとうに巴里の味が分りっこないからなあ……。
オペラの帰途 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかし、いくら考えてみても、さっきまでのことがゆめであるかまたは本当ほんとうであるか、どうもはっきりしませんでした。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
真箇ほんとうに忘れたとは云わさないぞ、と、宙はまた伯父の心理状態を考えて見た。
倩娘 (新字新仮名) / 陳玄祐(著)
齒を磨かない佐渡の人、湯屋で脊なかを爪で掻く佐渡の人、蒲團のかはりに藁の中にもぐつて寢る佐渡の人、それでも眞實ほんとうに笑ふことの出來る佐渡の人。
佐渡が島を出て:02 (旧字旧仮名) / 江南文三(著)
自分は程なく人のすいた電車の來る事と別に驚きもせず、取殘された人達と猶も路傍みちばたに立つて居たが、いや今度こそは眞個ほんとうに來る樣子はない。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
本當ほんとう身體からだいとはねばいけませぬぞえ、此前このまへ原田はらだといふ勉強べんきようものがぱりまへとほけてもれても紙魚しみのやうで、あそびにもかなければ、寄席よせ一つかうでもなしに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けれど、奔濤ほんとうは、迫って来た。すでに防禦線の一角はくずれ、中国も時代の旋風の外ではあり得なくなったのである。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今でもパラオ本島ほんとう、殊にオギワルからガラルドへ掛けての島民で、ギラ・コシサンとの妻エビルの話を知らない者は無い。
南島譚:02 夫婦 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「公主はほんとうの仙人でございます」
西湖主 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
目的あてが外れたといふ樣に、富江は急に眞面目な顏をして、『眞箇ほんとうですよ。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして、女房があるのだと打ち明けると、お駒ちゃんはなかなか信じなかったが、だんだん事実ほんとうとわかって身をふるわせて泣き伏してしまった。お駒ちゃんはまじめに磯五のことを思っていたのだ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それはこれより北に奔逃ほんとうして、越後ざかいに姿を隠している。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「全く真統ほんとうのことなんだ、嘘だと思っていてもよい。そのうちにできるようになるから。」
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ようやく、船底が洲を離れたと思うと、今度は昨夜以上の烈風が吹き出してきて、諸船もろぶねはみな虚空に飛揺ひようし、波は船楼を砕き人を翻倒ほんとうし、何しろ物凄い夜となってきた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
唯独ただひとりで身に叶うけの事を勤めて開国一偏、西洋文明の一張りでリキンで居る内に、政府の開国論が次第々々に真成ほんとうのものになって来て、一切いっさい万事改進ならざるはなし
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ソレでマア戦争帰りの血なまぐさい奴もおのずから静になって塾の治まりが付き、その中には真成ほんとう大人おとなしい学者風の少年も多く、至極しごく勉強してます/\塾風を高尚にして、明治四年まで新銭座しんせんざに居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「今やからあんたはんに言いますけど、真相ほんとうはこうやのどす」といって、なおくわしく話して聞かせたところによると、こうであった。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
じゃ、何もかも私のことが原因もとで屋形と捫着もんちゃくき起しているようなことをいって手紙をよこしていながら、それは皆なこしらえ事で真相ほんとうは三野村のことが原因だったのですな……どうも、そうでしょう。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
本頭ほんとうに、車騎将軍しゃきしょうぐん董承とうじょう
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このやうに抑制よくせいされ、簡單にされて、私の話は、ます/\眞心ほんとうらしく聽えるのだつた。私は、話しながら、テムプル先生が、十分に私を信じてゐると感じた。
「お上のお情けだよ。遠島にして置けば、萬一眞當ほんとうの下手人が擧つたとき島から呼び戻せる」
その下の真物ほんとうの髪毛は青い程黒く波打ったまま撫で付けにしてあったが、同時に鬘下で釣り上げられていた眉、眼、頬はふっくりと丸くなって、無邪気な、可愛らしい横顔に変ってしまった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのいずれかの翻蕩ほんとうの中に生きているようなものですから、せっかく、静かなお雪ちゃんの夢が、また夜中に破れきたったということは、ぜひもないことかもしれません。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)