“事実”のいろいろな読み方と例文
旧字:事實
読み方割合
じじつ57.1%
こと8.9%
まったく5.4%
ほんとう5.4%
まこと5.4%
じゞつ3.6%
もの1.8%
リアリチー1.8%
ことがら1.8%
じゝつ1.8%
たね1.8%
ほんと1.8%
サム・ファクツ1.8%
ファクト1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その容疑ようぎのもとは、中内工学士なかうちこうがくし場合ばあいていて、金魚屋きんぎょや老人ろうじんとのあいだ貸借関係たいしゃくかんけいがあり、裁判沙汰さいばんざたまでおこしたという事実じじつからである。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
きっと、お祖母さまの口から、途方もない事実ことが出るだろう。こんな良い人の、お祖母さまが悪魔になれるもんか
方子と末起 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかしまあ何でございますね、前触まえぶみんな勝つことばかりでそれが事実まったくなんですから結構で、わたくしなどもその話を聞きました当座は、もうもう貴方。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
然し、悪戯いたずらが悪戯でなくなって、事実ほんとう事実ほんとうも恐しい事実になって行くのを見ては、さすがに私も震えました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
... 思へばわれに意恨うらみもなきに、無残なことをしてけり」ト、事実まことしやかに物語れば、聴水喜ぶことななめならず
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
一ツは好事家かうずか随筆ずゐひつに、物凄ものすごくもまたおそろしくしるされる。あさあんずるに、随筆ずゐひつからつて講釈かうしやく仕組しくんでえんずるのであらうとおもふが、いたはうむと、うそらしいがせられて事実じゞつこえる。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
腹立紛れに贋物を取ッて骨灰微塵こっぱいみじんと打砕き、ホッと一息き敢えずまた穿鑿せんさくに取懸り、また贋物を掴ませられてまた事実ものにしてまた打砕き、打砕いてはまた掴み、掴んではまた打砕くと
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
絶対的にアイデアなるものを研究するは形而上学の唯心論なれども、そのアイデアを事実リアリチーの上に加ふるものは文芸上の理想派なり。
内部生命論 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
『なむあみだぶ。』と口の中で繰返し乍ら奥様が出て行つた後、やゝしばらく丑松は古壁に倚凭よりかゝつて居た。哀憐あはれみ同情おもひやりとは眼に見ない事実ことがらを深い『生』の絵のやうに活して見せる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
まへ講釈かうしやくのと読較よみくらべると、按摩あんまのちさむらひ取立とりたてられたとはなしより、此天狗このてんぐ化物ばけものらしいはうが、かへつて事実じゝつえるのが面白おもしろい。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其処そこへ往って敵をお討ちなさい、安田一角が他の者へ話しているのをわっちそばで聴いて居たから事実たねを知ってるのでございます、お賤、てまえと己が兄弟ということを知らないで畜生同様夫婦に成って
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は息がけなくなりました。夢なんだか、事実ほんとなんだか分りません。化物にしろ、何にしろです、娘の形をしているのですから、嬉しくって夢中でその手を取りました。
妖影 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
それには「銀翼号シルヴァ・ウイングに関する事実サム・ファクツの一部」とあって
踊る地平線:04 虹を渡る日 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
余は理想家でも何でも無し、唯だ余りきびしく文学を事実ファクトに推しつけたがるが愛山君の癖なれば、一時の出来心にて一撃を試みたるのみ、考へて見ればつまらぬ喧嘩にあらずや。
人生の意義 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)