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谷譲次
谷譲次
1900.01.17 〜 1935.06.29
安重根:――十四の場面――(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間39分
時。一九〇九年八月、十月。 所。小王嶺、ウラジオストック、ボグラニチナヤ、蔡家溝、ハルビン。 人。安重根、禹徳淳、曹道先、劉東夏、劉任瞻、柳麗玉、李剛、李春華、朴鳳錫、白基竜、鄭吉 …
踊る地平線:01 踊る地平線(新字新仮名)
読書目安時間:約55分
SAYONARA がたん! ——という一つの運命的な衝動を私たちの神経につたえて、午後九時十五分東京駅発下関行急行は、欧亜連絡の国際列車だけに、ちょいと気取った威厳と荘重のうちにそ …
踊る地平線:02 テムズに聴く(新字新仮名)
読書目安時間:約58分
窓 私たちの部屋には、四角な枠に仕切られた二枚の淡色街上風景が、まるで美術館の絵のようにならんで壁にひらいている。くる日も来る日も鉛いろの雨に降りこめられている私達に、かろうじて外 …
踊る地平線:03 黄と白の群像(新字新仮名)
読書目安時間:約55分
『ミスタ・ウザエモン・イチムラ——有名な日本の俳優がここに泊っているはずですが、いまいらっしゃいましょうか?』 あちこち動きまわっている番頭たちのなかから、やっとのことでひとりの注 …
踊る地平線:04 虹を渡る日(新字新仮名)
読書目安時間:約57分
とりっぷ・あ・ら・もうど BUMP! ロンドン巴里間航空旅行。 一九二八年——A・D——七月はじめ、それこそどしんと押し寄せてきた暑さの波に揉まれて、山高帽と皮手袋と円踵の女靴と、 …
踊る地平線:05 白夜幻想曲(新字新仮名)
読書目安時間:約59分
秋の静物 旅は、この散文的な近代にのこされたただひとつの魔法だ。 ある日、まったく系統のちがった一社会に自分じしんを発見する。その異国的な、あまりに異国的な、ときとして all-a …
踊る地平線:06 ノウトルダムの妖怪(新字新仮名)
読書目安時間:約56分
『馬耳塞からでも逃げて来たかね?』 『はあ。マルセイユから逃げてきました。』 『船は辛いだろうな。なに丸かね?』 『日本船じゃありません。英吉利です。』 『英船か。食いものが非道え …
踊る地平線:07 血と砂の接吻(新字新仮名)
読書目安時間:約57分
燃え立つ太陽・燃え立つ植物・燃え立つ眼・燃え立つ呼吸——何もかもが燃え立っているTHISVERYSPAIN! そして、この闘牛場。 AH!SI! 何という職烈・何という強調楽・何と …
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間5分
葡萄牙のリスボンで、僕はリンピイ・リンプと呼ぶびっこの英吉利人と仲よしになった。 リンピイは海から来た男で、そしてPIMPだった——あとで解る——それはいいが、ついうっかりしてるう …
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23(新字新仮名)
読書目安時間:約57分
蜜蜂の群の精励を思わせる教養ある低い雑音の底に、白い運命の玉がシンプロン峠の小川のような清列なひびきを立てて流れていた。 シャンベルタンの谷の冬の葡萄畑をロウザンヌ発大特急の食堂車 …
踊る地平線:10 長靴の春(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間0分
反照電熱機のような、香橙色の真ん円な夕陽を、地中海が受け取って飲み込んだ。同時に、いろいろの鳥が一せいに鳴き出して、白楊の林が急に寒くなった。私は、それらの現象を、すこしも自分に関 …
踊る地平線:11 白い謝肉祭(新字新仮名)
読書目安時間:約58分
私が、その希臘人の友達を Roger & Gallet と呼び出したのは、彼がこの巴里化粧品会社の製造にかかる煉香油を愛用して、始終百貨店の婦人肌着部のようなにおいを発散させながら …
踊る地平線:12 海のモザイク(新字新仮名)
読書目安時間:約51分
踊る水平線へ——! がたん! ——という一つの運命的な衝動を私達の神経へ伝えて、私たちの乗り込んだNYK・SS・H丸は倫敦・横浜間の定期船だけに、ちょいと気取った威厳と荘重のうちに …
踊る地平線:13 附記(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
旅から帰って、はじめて郷国の真価値がその額面通りに買い得るというものだ。今の僕がそれである。もう、実を言うと原稿なんかどうでもいいんで、ただやたらに日本の着物を着て、たたみに寝ころ …
字で書いた漫画(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
あめりか街上風景。 HOBOなる一個の非職業的職業に従事している尊敬すべき二紳士が、町角の煙草屋の前で日向ぼっこをしながら、ひねもす何ごとか議論し合っている。 忙しい都会の執務時間 …