“ほんもの”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
真物64.3%
眞物15.9%
本物8.8%
真者2.2%
実物1.6%
正物1.6%
古本屋0.5%
実在0.5%
本者0.5%
本職0.5%
正真0.5%
正真物0.5%
真人0.5%
真実0.5%
真実者0.5%
真正0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
真物ほんものの山水のなかへひたつて、自分も景物の一つになつて暮らす気持は、雪舟の名幅を見てるよりも、ずつと気が利いてるからな。」
一本も眞物ほんものと云ふものが含まれてなかつたのでせう? どうして悉くが贋物だつたのでせう? 運命でせうか? そして何故また君がそれを
奇病患者 (旧字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
水剪紅羅すゐせんのう龍膽りんだう赤熊百合しやぐまゆり本物ほんもの女性美によしやうびよりも、おまへたちのはうが、わたしはすきだ。ほろんだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
……では、先生におうかがいしますが、そういう奥まったところにある座敷土蔵へどうして偽物が忍びこみ、どうして大病の真者ほんものを持って行ったか、ひとつご釈義しゃくぎねがいましょうか
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
画と実物ほんものの貝殼などとのパノラマ的効果が現れ、小っぽけな窓から海底を覗いて居るような幻覚が起らない限でもないのだ——大人にパノラマが珍重された時代が我々の一九二六年迄かえって来る。
長崎の一瞥 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
私どもはあの中には正物ほんものの小判があることと思い込んで、一時人眼に付かないように新墓へ隠しただけでございます。砂利と古金物の詰った千両箱を盗んで処刑おしおきになるのは、いたし方もございません
道楽半分に買集めていた探偵小説の本だの教科書の貰い集めだのを並べたのが病み付きで、とうとう古本屋ほんものになっちまいましてね。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「アッハッハッ、幻じゃ! 実在ほんものではない仮のすがたじゃ!」
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
所がたび重なればあらわれるのことわざれず、る日、本者ほんものが来た。サア此方こっちは何ともわれないだろう、詐欺だから、役人を偽造したのだから。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それから彼は二日後の大震災も無事で過ごしましたが、その後悪い仲間に誘われて、本職ほんものの泥棒になってしまったのです。
頭蓋骨の秘密 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
この屋敷の一間で庭をながめながら、晩酌を試みているのは化物でもなんでもない、正真ほんものの神尾主膳であります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「中井履軒さんの鑑定書かんていがきがついてゐるさかい、正真物ほんものに相違おまへんて。」
かたちかおをもって、人物を選りわけていたら、偽者ばかりつかんで、真人ほんものを逸しましょう。そうそう、むかし禰衡ねいこうという畸人きじんがいましたが、丞相は、あの人間さえ用いたではありませんか」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところがその犯人の名前は、君自身か、呉一郎か、どちらかが過去の記憶を回復すると同時に思い出したのでなければ、真実ほんものとは云えないだろう。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
越前が、紀州を調べ、証拠品を押えて戻り、贋者と断じて、処分したとなれば、よし天一坊が、真正ほんものの御落胤であろうとも、人民の心には揺ぎがまいりませぬ。
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)