真者ほんもの)” の例文
その声音こわねまでが同じであるので、婿の家も供の者も、どちらが真者ほんものであるか偽者にせものであるかを鑑別することが出来なくなった。
……では、先生におうかがいしますが、そういう奥まったところにある座敷土蔵へどうして偽物が忍びこみ、どうして大病の真者ほんものを持って行ったか、ひとつご釈義しゃくぎねがいましょうか
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
お節が真者ほんものか替玉か判らねえ以上は、野郎をいくら責めたところで埒は明くめえ。まさか草鞋わらじもはくめえから、当分は生簀いけすに入れて置くのだ。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
最初の幽霊が果して偽者であったことは、おきよと甚右衛門の白状によって確かめられたが、後の幽霊が果して真者ほんものであるかないかを、確かめ得るものはなかった。
真鬼偽鬼 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
新次郎を取り押えて、大体の見当は付いたんですが、替玉か真者ほんものか、それが確かに判らない。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)