真鬼偽鬼しんきぎき
文政四年の江戸には雨が少なかった。記録によると、正月から七月までの半年間にわずかに一度しか降雨をみなかったという事である。七月のたなばたの夜に久しぶりで雨があった。つづいて翌八日の夜にも大雨があった。それを口切りに、だんだん雨が多くなった。 …