“嚇”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おど74.9%
おどか10.8%
かっ9.5%
かつ1.4%
1.0%
くわつ1.0%
くわツ0.7%
かく0.3%
カツ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは本道筋を離れた御法度の脇往来にひとしいものだ、左様心得て居らぬと飛んだ災難に遭わぬとも限らぬぞと暗におどしている。
紙魚こぼれ (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
初め山道は麓の村落でおどかされた程急ではないが、漸く樵夫きこりの通う位の細道で、両側から身長みのたけよりも高き雑草でおおわれている処もある。
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
彼は怒りのためにかっとなり、つぶてのように駆けつけると、かよの上にのしかかっている蔵人のえりを掴み、力まかせにひき起こした。
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
近づいたナと思ふと、骨の髄までキリ/\と沁む様な、或る聴取り難き言葉、否、叫声が、かつと許り自分の鼓膜を突いた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
呼ばれたものは表情のないげたほおをこちらに向けた。その手ごたえのない様子に彼女はッとするのだ。うすべりの耳をたたきつけて喚いた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
かたそばだて、前脚まへあしをスクとてて、みゝ圓天井まるてんじやうとゞくかとして、くわつ大口おほぐちけて、まがみはとほ黒板こくばん呼吸いきいた——
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
丁ど颶風ぐふうでも來るやうな具合に、種々な考が種々のかたちになつて、ごた/\と一時にどツと押寄おしよせて來る………周三は面喰めんくらつてくわツとなつてしまふ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「おのれ、長二ツ」と篠田は我と我が心を大喝だいかつ叱咜しつたして、かくとばかりまなこを開けり、重畳ちようでふたる灰色の雲破れて、武甲ぶかふの高根、雪に輝く
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
カツとした感情が、不思議に思はれた位に間もなく、くすぶつた。「もう憤る活気もないのか!」そんなことを思ふと、もう少しで笑ひ出すところだつた。
眠い一日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)