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嚇
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おどか
ふりがな文庫
“
嚇
(
おどか
)” の例文
初め山道は麓の村落で
嚇
(
おどか
)
された程急ではないが、漸く
樵夫
(
きこり
)
の通う位の細道で、両側から
身長
(
みのたけ
)
よりも高き雑草で
蔽
(
おお
)
われている処もある。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
「鰻? 鰻ですか。フフフフフ、いや、鰻でも悪い。ピアノは鰻を置く処じゃない。
彼
(
あ
)
んなに
嚇
(
おどか
)
して
若
(
も
)
し病気になったら
如何
(
どう
)
します」
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「それで、わしを
嚇
(
おどか
)
したつもりか、
盗人根性
(
ぬすびとこんじょう
)
をもっているのは、一体どっちのことか。おれはもう、貴様との交際は、真平だ」
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「うまく
嚇
(
おどか
)
してやった、人を尋ねると言ったのは大方あのことだろう、
燧台
(
のろしば
)
の後ろへ行くとお化けと狼が出ると言ったら本気にしていやがった」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
うーと
唸
(
うな
)
って
嚇
(
おどか
)
してやったら、迷亭は
蒼
(
あお
)
くなって
山下
(
やました
)
の雁鍋は廃業致しましたがいかが取り
計
(
はから
)
いましょうかと云った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
能因 貴樣が詰らないことを云つて
嚇
(
おどか
)
すものだから、陰陽師などが遣つて來て、何だかあぶなさうになつて來たから、そつと裏口から拔出して來たのだ。
能因法師
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
爺奴
(
ぢゞいめ
)
嚇
(
おどか
)
す氣になつて、「竿持つて來て叩き落すぞつ。」つて云ふから「そんな事するなら
恁
(
か
)
うして呉れるぞ。」つて、僕は手當り次第林檎を
採
(
と
)
つて
打付
(
ぶつつ
)
けた。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
うっかりと夜道を戻って来た酔払いなどが突然狐や赤鬼に
嚇
(
おどか
)
されて
肝
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
したり娘たちがひょっとこに追いかけられたりする騒ぎが
頻繁
(
ひんぱん
)
に起ったりするので
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
優しい声を出したかと思ふと、今度は又ふだんの通り、突然わたしを
嚇
(
おどか
)
すやうにかう申すのでございます。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
単に子供を
嚇
(
おどか
)
す想像上の害敵となって永く残りその子供がまた成人して行くうちに、次第に新しい妖怪の一種にこれを算えるに至ったのは注意すべき現象だと思う。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
嚇
(
おどか
)
すように呶鳴りつけると、モッフは黙って、
傍
(
そば
)
に並んでいる腰掛を
指
(
ゆびさ
)
した。そこには、天井からぶら
垂
(
さが
)
ったカンテラに照されて、十人ほどの荒くれ男が正体もなく転がっていた。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
ふと、さつきお父さんが「親を睨むと鰈になる。」といつた言葉を
憶
(
おも
)
ひ出した。
勿論
(
もちろん
)
、はじめそんなことは信じてゐなかつた。大人は時々ああいふことをいつて
嚇
(
おどか
)
すのだと思つた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
急に自分をとりかこんで天才だの作家だの人気商売だからと半ば
嚇
(
おどか
)
すように云ったりする人間だの、急におとなしくなった家のものだのに向って感じる信頼の出来ないいやな心持が
『長女』について
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「
嚇
(
おどか
)
されてはいけません。ね、奥さん、何でもありません、どうぞ話して下さい。」
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
風早學士は、覺えず首を
縮
(
ちぢ
)
めて、我に返ツた。慌てて後へ引返さうとして、勢込むで
踵
(
きびす
)
を
囘
(
かへ
)
す……かと思ふと、何物かに
嚇
(
おどか
)
されたやうに、
些
(
ちよツ
)
と飛上ツて、慌てて傍へ
飛退
(
とびの
)
き、そして振返ツた。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「仰せの通り新参で。……
嚇
(
おどか
)
しちゃいけねえ。恐い顔ですねえ」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
悲しむ勿れ、アカイアの衆を
嚇
(
おどか
)
すことなかれ
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
嚇
(
おどか
)
す気になっているが、どのみち近いに越したことはございませんから、この辺をひとつ向うへ突っ切って、この燧台の後ろへ廻ってみましょう
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
が、その
拍子
(
ひょうし
)
に犬殺しはじろりと白へ目をやりました。「教えて見ろ! 貴様から先へ
罠
(
わな
)
にかけるぞ。」——犬殺しの目にはありありとそう云う
嚇
(
おどか
)
しが浮んでいます。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「いや、
嚇
(
おどか
)
しではない、本気なんだ。船が見えたら、貴様は綱をひいて、気球の
瓦斯
(
ガス
)
を放出して下におりて、助けられるつもりだろうが、それについて、ちと注文があるんだ」
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
不忍
(
しのばず
)
の池の溢れた水中をジャブジャブ漕いで、納涼博覧会などを見物し、折から号外号外の声
消魂
(
けたたま
)
しく、今にも東都全市街水中に葬られるかのように人を
嚇
(
おどか
)
す号外を見ながら、午前十一時五十五分
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
お島に聞いたら、あれは
嚇
(
おどか
)
しだと言ったが、お父さんは大分怒ってるようだ。乃公見たいな者は
凝
(
じ
)
っとして坐っていれば宜い。
一寸
(
すこし
)
身体を動かして何かするとそれが直ぐ悪戯になる。厄介な
生来
(
うまれつき
)
だ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
われを
嚇
(
おどか
)
す事勿れ、汝は之を望み得ず
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
『厭私、
嚇
(
おどか
)
すのは。』
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「それをお前さんが
調戯
(
からか
)
いなすったんでございましょう。だから猿がああして、仲間をつれて来て
嚇
(
おどか
)
すんでございますよ」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あまり
嚇
(
おどか
)
すなよ」
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ことにこの街道には、がんりきと言って一本腕で
名代
(
なだい
)
の
胡麻
(
ごま
)
の
蠅
(
はえ
)
がいるから、なんでも一本腕の男が傍へ寄って来たら、ウント
嚇
(
おどか
)
してやるがいい
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あ、ほんとうに、わたくしを井戸の中へ投げ込んでおしまいなさるのですか、御冗談に、わたくしを
嚇
(
おどか
)
してごらんになるのじゃございませんか」
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この次に来たら
嚇
(
おどか
)
して
奢
(
おご
)
らしてやらずばなるまいなんぞと、あとに残った親爺連はいろいろ評定していました。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ナニ、やる奴に限って
先触
(
さきぶれ
)
は致しませんな、ただほんのイタズラでございますよ、
嚇
(
おどか
)
しに過ぎませんよ」
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
嚇
(
おどか
)
しておいて、長いのをスラリと引抜くのではなく、懐中から投げ出したのは若干の
酒料
(
さかて
)
らしい。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
迷信や因縁事で米友を
嚇
(
おどか
)
すには、米友の頭はあまりに粗末でそうして弾力があり過ぎます。昨夕、ここであんなことをお角から言われて、その時はおかしな気分になりました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
兵馬はこうして金助を
嚇
(
おどか
)
しながら先に立てて、躑躅ヶ崎の下屋敷へ案内させました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
なるほど、そいつは近ごろ面白い
見付物
(
みつけもの
)
でございます、まかりまちがっても
嚇
(
おどか
)
しで済む、うまくゆけば金脈に掘り当てる、転んでも大した怪我はなかりそうなのに、
儲
(
もう
)
かれば大山だ。
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「何ですって、女の人が殺された?
冗談
(
じょうだん
)
じゃありません、
嚇
(
おどか
)
しちゃいけませんよ」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
冗談
(
じょうだん
)
じゃねえ、善兵衛さん、貧窮組が納まって間もねえ時だ、
嚇
(
おどか
)
しっこなし」
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
六尺の男が
戦慄
(
せんりつ
)
し、街道を通る牛馬でさえ、立ちすくんでしまうことがあるくらいですから、子供らの歯には合いません、ムク犬もまた子供を
嚇
(
おどか
)
すようなことは
嘗
(
かつ
)
てしたことがないのです。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ゆくりなくも
嚇
(
おどか
)
された音無しの怪物に、飛騨の高山へ来てから最初の、血祭りの刀を抜かせなかったということは、やはり重大なる功徳の一つであったに相違ないと思われるが、やっぱり
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「心配しなさんな、俺らが町のやつらを
嚇
(
おどか
)
しといたから、やつらもムクを殺しはしめえ、生きていりゃあ、ムクのことだから、山ん中にいようと谷底に隠れていようと、あとを尋ねて来るからなあ」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「何だえ、
嚇
(
おどか
)
しちゃいけないよ、落着いて読んでお聞かせよ」
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「何もかも、そう知り抜いていたんじゃあ、
嚇
(
おどか
)
しにもならぬ」
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
歩兵はうるさいから、道庵の
胸倉
(
むなぐら
)
を取って
嚇
(
おどか
)
すと
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「やい、
嚇
(
おどか
)
すない」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
嚇
(
おどか
)
してみました。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
嚇
常用漢字
中学
部首:⼝
17画
“嚇”を含む語句
威嚇
嚇々
嚇怒
威嚇的
脅嚇
畏嚇
嚇迫
大威嚇
嚇然
威嚇射撃
威嚇性
一嚇
恐嚇
犬嚇
猪嚇
畏嚇法
白痴嚇
脅嚇手段
鬼嚇