“踵”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かかと40.9%
きびす31.0%
くびす18.6%
かゝと4.6%
1.7%
かがと1.1%
かゞと0.8%
あと0.5%
あくと0.2%
あた0.2%
くるぶし0.2%
ひずめ0.2%
カカト0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いつもは見識みしらない場所へ来るとまっさきに立って駈け出すにもかかわらず、今夜はわたしの靴のかかとにこすりついて来るのであった。
門に入ればかなえくごときものが感じられ、早くもここには一死を共に誓う家の子郎党の二心なき者がきびすをついで駆け集まっていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
陳亢ちんこうも伯魚も、夢中になって孔子の言葉に聞き入った。二人の足は、ややともすると、孔子のくびすをふみそうにさえなることがあった。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
渠は紐で飾つた袍を着て、広い帯に剣を懸け、羽附きの高く尖つた帽を戴き、赤いたびかゝとの高い、花飾りの附いた靴を穿いて居ます。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
二人の相いで木に就いた時、蘭軒は始て黄葉夕陽村舎詩の刻本を手にすることを得、甲子の旧遊を想起して此を賦したのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
黒く磨かれた、かがとの高い靴で、彼女はきりっと、ブン廻しのように一とまわりして、丘の方へ行きかけた。
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
児玉氏はかう言つて、自分の脚の下が、外国の土地である事をたしかめるやうに、二三度床板をくつかゞとで蹴飛ばした。
数年前の大杉と少しも違わない大杉であった。そのあとから児供こどもを抱いて大きなおなかの野枝さんと新聞の写真でお馴染なじみの魔子ちゃんがついて来た。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
現に二十三日の晩、最後に会つた時でも別に変つた様子は無く、常の如く快く飲んで別れたのに、あくとなぐりに十日と経たぬ昨日、唯あの新聞記事だけで絶交するとは可笑をかしい。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
ほしは大糜にやどり、月は夾鐘にあた、清原の大宮にして、昇りて天位にきたまひき。道は軒后にぎ、徳は周王にえたまへり。乾符をりて六合をべ、天統を得て八荒をねたまひき。
それを伝わって、水面までおりた里好は、ためらうことなく、片足をざぶりと水の中へ突きおろした。ほんのくるぶしぐらいまでの水である。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
突然、ユーストンの街路の銀鈴の響が尾をひいて、馬のひずめの音が静寂な空気の中に運命的なさけびをたてた。
バルザックの寝巻姿 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
けれども、彼女達の話すアクセントを一度きいたら 彼女達のカカトにはどんなに田舎の泥がしみ込んで居るか。敏ショーとか 医学的教養とかからはどんなに遠い婆さん達であるかを感じるだろう。
一九二九年一月――二月 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)