“踵”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
かかと42.0%
きびす29.2%
くびす19.2%
かゝと4.2%
1.9%
かがと1.2%
かゞと0.9%
あと0.5%
あくと0.2%
あた0.2%
(他:3)0.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かかとの堅きたたきに薄寒く響いたとき、黒きものは、黒き咽喉のどから火のをぱっといて、暗い国へごうと去った。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ポンと尻持しりもちいたていに、かかとの黒いのを真向まむきに見せて、一本ストンと投出なげだした、……あたかよし
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
だが、その槍の穂がくるより早く、弦之丞は刀のつかをつかんだまま、かかとを蹴って左へ跳び、同時に鍔鳴つばなりさせて一刀を抜き払った。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それなのにものの一間もがたがたと床を踏んだかと思うときびすをかえして大胆に私を藪睨やぶにらみして、英国人らしく鼻にいぼをつくって、
孟買挿話 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
それを聞くと助五郎はくるりときびすを廻らして、元来た方へすたすた歩き出した。喫驚びっくりして後見送っている望月を振り返りもせずに——。
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
残る二、三人は、に飛びついて逃げうせたが、張飛は笑って追いもしなかった。そしてきびすをめぐらすと、劉備のほうへ大股に近づいてきて、
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれは苦もなく後ろから追い付いて、男のそでけざま、二足前へ出したくびすをぐるりと返して男の顔をのぞんだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やがて、三足、四足と、急速にくびすを返すと、まっしぐらに、身をねじ向けた娘、そのまま真一文字に、もと来た道へせ下ってしまいます。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
これを羨みこれを慕う凡俗の群は、くびすを揃えてこれに学びこれに倣って、万古に尽きせぬ濁流を人類文化の裡面に逆流させるからであります。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
教場で背後から何ほど鉛筆で頸筋くびすぢを突つつかれようと、靴先でかゝとられようと、眉毛一本動かさずまたゝき一つしなかつた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
寒いって胼胝あかぎれだらけな足を上げて、たって居てかゝとをあぶるので、旦那はすっかり怒って仕舞って早々そう/\いとまになりました
誰が尺を突込つッこんで見たか、髪の毛のつやが好く、中肉中丈ちゅうにくちゅうぜいで、おしりの小さい、かゝとの締った
二人の相いで木に就いた時、蘭軒は始て黄葉夕陽村舎詩の刻本を手にすることを得、甲子の旧遊を想起して此を賦したのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そして、信長と秀吉と家康は、満身に照明を浴びつゝ相いで登場して、英雄の名をさらつてしまつたのである。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
あといてて、渠等かれら狐格子きつねがうしそとまつたのである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
(あれ、気味きみわるいよ。)といふと婦人をんな背後うしろ高々たか/″\かがとげてむかふへんだ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まだかがとにいっぺえくっついてるじゃねえか——何だ、手前の脚は? 月に一ぺんぐらいはお湯にへえってんのか?」
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
黒く磨かれた、かがとの高い靴で、彼女はきりっと、ブン廻しのように一とまわりして、丘の方へ行きかけた。
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
そこでぢいやがちひさな麻裏草履あさうらざうりつけてまして、かゞとはうひもをつけてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
児玉氏はかう言つて、自分の脚の下が、外国の土地である事をたしかめるやうに、二三度床板をくつかゞとで蹴飛ばした。
士官は吐き出すやうに言つて、葉つ葉を地面ぢづらに投げ捨てた。そして思ひきり強くくつかゞとで踏みにじつた。
そのあとから児供こどもを抱いて大きなおなかの野枝さんと新聞の写真でお馴染なじみの魔子ちゃんがついて来た。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
何事や起こりたると、見物は白糸のあとより、どろどろと乱れ出ずる喧擾ひしめきに、くだんの男は振り返りぬ。白糸ははじめてそのおもてを見るを得たり。渠は色白く瀟洒いなせなりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
時に由ると、嬉しくて堪らぬようにあとから泥足どろあしのまま座敷まで追掛けて来てジャレ付いた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
現に二十三日の晩、最後に会つた時でも別に変つた様子は無く、常の如く快く飲んで別れたのに、あくとなぐりに十日と経たぬ昨日、唯あの新聞記事だけで絶交するとは可笑をかしい。
茗荷畠 (新字旧仮名) / 真山青果(著)
ほしは大糜にやどり、月は夾鐘にあた、清原の大宮にして、昇りて天位にきたまひき。
ほんのくるぶしぐらいまでの水である。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
突然、ユーストンの街路の銀鈴の響が尾をひいて、馬のひずめの音が静寂な空気の中に運命的なさけびをたてた。
バルザックの寝巻姿 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
けれども、彼女達の話すアクセントを一度きいたら 彼女達のカカトにはどんなに田舎の泥がしみ込んで居るか。
一九二九年一月――二月 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)