かつ)” の例文
近づいたナと思ふと、骨の髄までキリ/\と沁む様な、或る聴取り難き言葉、否、叫声が、かつと許り自分の鼓膜を突いた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
すぐに病人びやうにんれてゆけつてひどことをぬかしやがる、此方こつちもついかつとして呶鳴どなつてちやつたんですが…………
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
其樣そんなにわたしにくいんですか。憎いなら憎いやうに………」とかつとしたていで、突ツかゝり氣味ぎみになると
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
かつとして、いきなり横面を張飛ばした。鼻垂しも負けない氣になつてむしやぶり付いて來たが、自分の方が力が強かつたので、忽ち地べたに叩きつけて泣かしてしまつた。
貝殻追放:016 女人崇拝 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)