“かつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カツ
語句割合
23.4%
20.0%
14.9%
9.3%
5.6%
5.1%
3.8%
3.3%
2.8%
1.4%
1.2%
1.1%
1.1%
0.9%
0.8%
0.6%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.4%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
加津0.1%
可津0.1%
戞矢0.1%
欺弄0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その四人の侍が、長方形の箱をかついでいる。と、その後から二人の侍が、一挺のいかめしい駕籠に付き添い、警護するように現われた。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いきなり隣の部屋——かつて姉娘のお茂世が行方不明になつた六疊の部屋から、親分の平次の籠つたやうな聲がするではありませんか。
かつてそこに松井源水が住んでいたというのをもって源水横町、その横町が「大風呂」という浴場をもっていたのをもって大風呂横町
雷門以北 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
谷から吹き上げる風は冷くかつ強いにもかかわらず、絶頂は不思議に風が当らない許りか、風呂場へ這入った時のように生温くさえ感じた。
親の代から長屋で成長し、現在では共同して辻駕籠つじかごかついでいる銀太と金太という二人の若者は、中んずく斯様かように公言しておった。
長屋天一坊 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
平次が一かつするのと、八五郎が跳びつくのと一緒でした。首筋を掴んで物蔭からズルズルと引出したのは、留守番に來てゐた傳助。
と、久しくかつえていた軽輩武士が、世上の動揺で、にわかに何事かでた金で、あらっぽい消費をする様を、さげすまずにいられなかった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれこもつくこをかついでかへつてとき日向ひなたしもすこけてねばついてた。おしな勘次かんじ一寸ちよつとなくつたのでひどさびしかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
赤い毛布ケットかつぎ、「カリメラ」の銅鍋どうなべや青いほのおを考えながら雪の高原を歩いていたこどもと、「雪婆ゆきばンゴ」や雪狼ゆきオイノ雪童子ゆきわらすとのものがたり。
かつと思って戦争をして負けて騒ぐのもその通り、負けたらこうして盛り返すという最後の策を定めなければうっかり戦争も出来ない訳だ。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
標準に拘泥こうでいすることなかれ。手前勘の理想をかつぎまはることなかれ。嗜好しかうにあやまたるゝことなかれ。演繹的なることなかれ。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
わたくしこの大佐たいさとはかつ面會めんくわいしたこといが、かね櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさとは無二むに親友しんいうで、また、わたくしためには終世しゆうせいわするゝこと出來できない
吉本さんはかつて浅見先生の家塾に身を寄せていたこともあるという。捨吉に取ってのこの二先輩はそれほど深い縁故を有っていた。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その證拠にはときどき私がかつとしてむかつてゆくと彼は一騎打ちをしずにうまく逃げて遠巻きにひとを苦しめようとする。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
それからまたどんどんいきますと、今度はおおぜいの大男が、これも食べものにかつえて、たった一とかたまりのパンを奪い合って、恐ろしい大げんかをしていました。
黄金鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
かつ々として響く鉄棍の音、碧落を縫ふ真白なボール、忽ち場の一隅から突如として異様なる応援の声が起つた。競技に酔つた観衆は驚いて眼をみはつた。
図書介の木剣をかつと叩き落したが、それと同時に自分の木剣もぽろっととり落した、「まいった」「まいった」二人はほとんど同時に叫んだが
薯粥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
もしこの超人にかつをいれて、彼をさますことができたとしたら、「超人X号」は、ここに始めてこの世に誕生するわけになる。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そんならくが好い。丁度ステーションのそばに何軒か普請中ふしんちゆううちも有るから、煉瓦でも運んで居りや、かつゑもしまい。たゞ酒だけはつゝしむんだぞ。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
汽車きしや新橋しんばし昨夜さくや九時半くじはんつて、今夕こんせき敦賀つるがはいらうといふ、名古屋なごやでは正午ひるだつたから、めし一折ひとをりすしかつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのむこうの空のぬれた黝朱うるみの乱雲、それがやがてはかつとなり、黄となり、朱にあかに染まるであろう。日本ラインの夕焼けにだ。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
だがその前二年ってものは、馬鹿めが! あいつはかつえていやがったんだよ。奴は乞食をする、盗みはやる、人殺しをやる、おまけに飢死うえじにと来るんだからなあ!
すぐに病人びやうにんれてゆけつてひどことをぬかしやがる、此方こつちもついかつとして呶鳴どなつてちやつたんですが…………
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
玄徳は、鞏志を、武陵の太守に任じ、ここに三郡一かつの軍事もひとまず完遂したので、荊州に留守をしている関羽のところへもその由を報らせて、歓びをわけてやった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こいつは、やっぱりかつがれたかなと思って、首を引込めると、ムクが勢いよく外へ飛び出しました。ムクがこっちから飛び出すと一緒に、向うの木蔭から蛇の目の傘が一つ出て来ました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
えて四十につてもかれなべといふのがひどいやであつた。村落むらではそれをらぬものはない。あるとき惡戯好いたづらずきかね博勞ばくらう勘次かんじかついねを、これなんだえといた。わざいたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
父母に七一孝廉かうれんの聞えあり、貴きをたふとみ、いやしきをたすくるこころありながら、七二三冬のさむきにも七三きう起臥おきふし、七四ぶくのあつきにも七五かつすすぐいとまなく
「てめえが、弟でかつか。覚えとけ、おれのつらを。ここへ入ッたからにゃ、蝎も蛇も、のさばらしちゃおかねえぞ。おい牢番」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……ええと、なんだって、両頭蛇の解珍かいちんと、双尾蝎そうびかつの解宝だと。蛇が兄きで、かつが弟か」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
字引じびきを見ると、かつの字はもと家をささうる材木の意味であり、したがって人の場合には重荷をになってえる意を含ませてあるとくが、これはいわゆる勝つ所以ゆえんを最もよく表したものと思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
いわゆる強さの形が変化するというは、かつの字について前の「説文せつもん」にいえるがごとく、重荷をになうて堪えること、すなわち辛苦艱難しんくかんなんに堪える、耐忍たいにんの力あることをもってその強さが計られる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「どうれ、けえつて牛蒡ごぼうでもこせえべえ、明日あした天秤棒てんびんぼうかついで支障さはりにならあ」剽輕へうきん相手あひておもしたやうにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「どうせ、おめえやうに紺屋こんや弟子でしてえな手足てあし牛蒡ごばうでもかついであるくのにや丁度ちやうどよかんべ」復讎ふくしうでも仕得しえたやうな容子ようすぢいさんはいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
例せばシフノス島には毒蛇あり、ケオス島にかつ、アンチパロス島には蜥蜴のみありて全く蛇なし(ベントの『シクラデス』九〇頁)。
また火を以てかつを取り囲むにその毒尾のさきを曲げて脊を衝いて死する事もあるが、これらは狂人が自身を咬むと等しく、決して企ててする自殺でなくまた毒分が自身を害するでもないから
寮といっているが、この十年来、メートレスの役をしている、加津かつという女にやらせている待合を、便宜的な名義で保持しているので、そのことは柚子もうすうす知っているらしかった。
春雪 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
昭和十何年かの京都の知恩院の大茶会に、鴻池可津かつ子がたった一度だけ着たというあれの連れなの。
姦(かしまし) (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
腕におぼえの直江志津を抜き放ち、眼の前なる青竹の矢来を戞矢かつ々々と斬り払ひて警固のたゞ中に躍り込み
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
白鷹氏は故意わざと、あんなに冷厳な態度をって後輩の田舎者である俺を欺弄かついでおられるかも知れない。アトで大いに笑おうと言う心算つもりなのかも知れない。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かつぎ姫、「歸依きえ」の掬むなる
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
かつひめ、『歸依きえ』のむなる
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
それなら何故俺の始末をしなかったろう? 此処は明放あけばなしのかつとした処、見えぬことはない筈。それに此処でこうして転がっているのは俺ばかりでもあるまい。敵の射撃はの通り猛烈だったからな。
しかしじっと耳を澄ますと、かつと金と触れ合う音、そうかと思うと岩にぶつかる、大濤おおなみのような物音が、ある時は地の下から、またある時は空の上から、かすかではあったけれど聞こえて来た。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
引捻ひんねじれた四角な口を、額までかつと開けて、猪首いくび附元つけもとまですくめる、と見ると、仰状のけざま大欠伸おおあくび。余り度外どはずれなのに、自分から吃驚びっくりして
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
猟人かりうどは、その無邪気むじやき鸚鵡あうむ可憐かあいそうにおもつてうたないでつれてかへつて可愛かあいがつてかつてやりました。
私はその時二分金にぶきんで百両か百五十両もって居たから、この金をひとりで持て居ても策でない、イザとえば誰が何処どこにどう行くか分らない、金があればかつえることはないから
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
若しすべての文学者ぶんがくしやかつ兵役へいえき従事じゆうじせしめば常備軍じやうびぐんにはか三倍さんばいして強兵きやうへいじつたちまがるべく、すべての文学者ぶんがくしや支払しはら原稿料げんかうれうつもれば一万とん甲鉄艦かふてつかん何艘なんざうかをつくるにあたるべく
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)