かつ)” の例文
「やつぱり、なんだなあ、悪魔の手のかかつた場所ぢやあ、かつゑたモスカーリから搾り出すほどの儲けもあるこつてねえだて。」
それからまたどんどんいきますと、今度はおおぜいの大男が、これも食べものにかつえて、たった一とかたまりのパンを奪い合って、恐ろしい大げんかをしていました。
黄金鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
お屋敷の方はともあれかし、この世の乱れの収まったのち、たとえ天下はどのように変ろうとも、かならず学問のかつえが来る、いにしえの鏡をたずねる時がかならず来る。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
みんな人間がんで食べてしまうからです。それでも足りないでかつえ死ぬ人が多くありまして、わしらが見ても、街道筋にゴロゴロ行倒れが毎日のように倒れました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ね、僕はお前に何を言おうとしてるかわかるかい。もし僕がかつえてるために人殺しをしたのなら」
ええ貰うもんか、かつえ死にしたって貰やしない。さぞたんとお金を持ってきたんだろうね。そんなものなんか溝の中へでも棄っちまいなよ。恥知らずにも程がある!……。
神棚 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「でも……」と捨松はなお渋って「私はかつえているんですよ。三日も何んにも食わないんですよ」
人間製造 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「おんたちは人に寄りすがつてゐさへすれば好えと思ふのが大間違ひよ。わしだつてあんた等をかつゑさしやせん積りで此の通り身体の続くだけ働いとるぢやないか……。」
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
泣顔かくす化粧けわいして、ゆききの人になさけを売り、とにもかくにも日を送れど、盛りを過ぎし我々は見かえる人もあらばこそ、唯おめおめと暮しては、かつえて死なねばなりませぬ。
平家蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
無教育で薄情で利慾にかつえ、一片のパンのことでも口汚なく罵り、粗野で下等でゆかへ唾を吐きちらし、食事中でも祈祷の時でも平気でおくびを出すような、そういう人たちの間で育ったのだったら
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「食われますよ。餌が皆帰ってしまってかつえていますから」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ではあの人は寒さばかりでなく、かつえて死んだのだ」
お屋敷の方はともあれかし、この世の乱れの収まつたのち、たとへ天下はどのやうに変らうとも、かならず学問のかつゑが来る、いにしへの鏡をたづねる時がかならず来る。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
すると、向うの方で、大ぜいのおおかみと大ぜいのくまとが食べものにかつえて大げんかをしていました。
黄金鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
かつえて死ぬる場になっては、恥も外聞も厭わばこそ、其日その日のかてがほしさに……。
平家蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
弄んでいる世の中に、情にかつえた外国生れのマドロスさんが、これを
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かつにさせるつもりなら、それでいいよ!
神棚 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)