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甞
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かつ
ふりがな文庫
“
甞
(
かつ
)” の例文
せしとて甚だ通なり
甞
(
かつ
)
て
出立
(
しゆつたつ
)
の時に曰く木曾海道美人に乏し和田峠西もちや村の餅屋に一人また
洗馬
(
せば
)
に一人あり洗馬のは
予
(
われ
)
未だ其比を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
私
(
わたくし
)
は
未
(
ま
)
だ
此
(
この
)
大佐
(
たいさ
)
とは
甞
(
かつ
)
て
面會
(
めんくわい
)
した
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
いが、
兼
(
かね
)
て
聞
(
き
)
く
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
とは
無二
(
むに
)
の
親友
(
しんいう
)
で、また、
私
(
わたくし
)
の
爲
(
ため
)
には
終世
(
しゆうせい
)
忘
(
わす
)
るゝ
事
(
こと
)
の
出來
(
でき
)
ない
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
当時の証人としては、
甞
(
かつ
)
ての乳母やさんがいつでも出現して下さるそうでございます。どうぞ、旦那様、花の児を返して下さいませ——
美人鷹匠
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
甞
(
かつ
)
て将来の事を語らんと欲したるも、然れども夫れは実に大なる予が迷いたるの事たるを悟れり。戦地に
出
(
いず
)
るは、此れ死地に勇進するなり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
けれども
米屋
(
こめや
)
の
拂
(
はらひ
)
を、
此
(
この
)
三十日
(
みそか
)
には
何
(
ど
)
うしたものだらうといふ、
苦
(
くる
)
しい
世帶話
(
しよたいばなし
)
は、
未
(
いま
)
だ
甞
(
かつ
)
て
一度
(
いちど
)
も
彼等
(
かれら
)
の
口
(
くち
)
には
上
(
のぼ
)
らなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
実に彼の宮を奪れしは、その
甞
(
かつ
)
て与へられし物を取去られし上に、与へられざりし物をも
併
(
あは
)
せて取去られしなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
盡し
神佛
(
かみほとけ
)
へも祈りしかど其
驗
(
しるし
)
も
甞
(
かつ
)
てなく後には
半身
(
はんしん
)
叶はず腰も立ねば三度の
食
(
しよく
)
さへ人手を
借
(
かり
)
るほどなれどもお菊は少しも怠らず晝は
終日
(
ひねもす
)
賃仕事
(
ちんしごと
)
或ひは
注
(
すゝ
)
ぎ
洗濯
(
せんたく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
容易
(
ようい
)
に
胸隔
(
きようかく
)
を
開
(
ひら
)
かぬ
日本人
(
にほんじん
)
は
容易
(
ようい
)
に
胸隔
(
きようかく
)
を
閉
(
と
)
つる
日本人
(
にほんじん
)
に
候
(
そろ
)
、
失望
(
しつぼう
)
の
相
(
さう
)
ならざるなしと、
甞
(
かつ
)
て
内村
(
うちむら
)
先生申され
候
(
そろ
)
。
然
(
しか
)
り
小生
(
せうせい
)
も
日本人
(
にほんじん
)
に
候
(
そろ
)
拒
(
こば
)
まざるが
故
(
ゆゑ
)
に
此言
(
このげん
)
を
為
(
な
)
し
候
(
そろ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
甞
(
かつ
)
て
自分
(
じぶん
)
一人
(
ひとり
)
で
毬投
(
まりな
)
げをして
居
(
ゐ
)
て、
吾
(
わ
)
れと
吾
(
わ
)
れを
騙
(
だま
)
したといふので、
自分
(
じぶん
)
の
耳
(
みゝ
)
を
叩
(
たゝ
)
かうとしたことを
思出
(
おもひだ
)
しました、それといふのも
此
(
この
)
不思議
(
ふしぎ
)
な
子供
(
こども
)
が、
一人
(
ひとり
)
でありながら
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
さて
余
(
よ
)
が
旧友
(
きういう
)
観励
(
くわんれい
)
上人は(椎谷ざい田沢村浄土宗祐光寺)
強学
(
きやうがく
)
の
聞
(
きこ
)
えあり、
甞
(
かつ
)
て
好事
(
かうず
)
の
癖
(
へき
)
あるを以てかの
橋柱
(
はしばしら
)
の文字を
双鈎刊刻
(
さうこうかんこく
)
して
同好
(
どうこう
)
におくり且
橋柱
(
はしばしら
)
に
題
(
だい
)
する
吟詠
(
ぎんえい
)
をこひ
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
甞
(
かつ
)
てはありふれた質素な品であつたが、私がわけても好むものゝ一種である。工房を訪ねると、時としてはいとも貧しい箱舟や簀で、農事の片手間に、もの静かに漉いてゐる。
和紙の教へ
(新字旧仮名)
/
柳宗悦
(著)
「
年齡
(
とし
)
は取つても私が川村家の總理大臣だ。」と
甞
(
かつ
)
て祖母が云つてゐたことがあつた。
孫だち
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
しかしこれは
咎
(
とが
)
めずとも好い。わたしの意外に感じたのは「偉大なる画家は名前を入れる場所をちゃんと心得ている」と言う言葉である。東洋の画家には
未
(
いま
)
だ
甞
(
かつ
)
て
落款
(
らくかん
)
の場所を軽視したるものはない。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
甞
(
かつ
)
て彼女の魂が、どんなにやさしい心をもとめてゐたかは!
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
甞
(
かつ
)
てこれらの人間を、作つたのもおゝ
自然
(
おまえ
)
!——
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
心
(
こころ
)
は
知
(
し
)
らじ、
甞
(
かつ
)
てだに。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
然れども
甞
(
かつ
)
て决する事ありて、如何なる塲合にも耐忍すべきとするを以て、強て一時間ばかりにして
眼胞
(
まぶた
)
は腫れて、且つ諸所に出血する事あり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
其所
(
そこ
)
が代助には
難有
(
ありがた
)
い。と云うのは、誠吾は父と
異
(
ちが
)
って、
甞
(
かつ
)
て小むずかしい説法などを代助に向って遣った事がない。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
甞
(
かつ
)
てこの人との間に縁談があったと妻が云っていたことを思い出して、聞いた時はそのままに流してしまった事柄を、急に大事件のように記憶から呼び起しました。
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
疑
(
うたがひ
)
の雲は始て宮が胸に
懸
(
かか
)
りぬ。父が
甞
(
かつ
)
て病院にて見し女の必ず訳有るべしと
指
(
さ
)
せしはこれならん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
自分
(
じぶん
)
も
亦
(
また
)
、三
人
(
にん
)
の
園丁
(
えんてい
)
のやうに
平伏
(
ひれふ
)
さなければならないか
何
(
ど
)
うかは
些
(
ち
)
と
疑問
(
ぎもん
)
でしたが、
甞
(
かつ
)
て
行列
(
ぎやうれつ
)
に
出逢
(
であ
)
つた
場合
(
ばあひ
)
、かうした
規則
(
きそく
)
のあることを
聞
(
き
)
きませんでした
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
さて
余
(
よ
)
が
旧友
(
きういう
)
観励
(
くわんれい
)
上人は(椎谷ざい田沢村浄土宗祐光寺)
強学
(
きやうがく
)
の
聞
(
きこ
)
えあり、
甞
(
かつ
)
て
好事
(
かうず
)
の
癖
(
へき
)
あるを以てかの
橋柱
(
はしばしら
)
の文字を
双鈎刊刻
(
さうこうかんこく
)
して
同好
(
どうこう
)
におくり且
橋柱
(
はしばしら
)
に
題
(
だい
)
する
吟詠
(
ぎんえい
)
をこひ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
兵曹
(
へいそう
)
と
私
(
わたくし
)
とは、
恭
(
うや/\
)
しく
敬禮
(
けいれい
)
を
施
(
ほどこ
)
しつゝ、ふと、
其人
(
そのひと
)
の
顏
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めたが、あゝ、
此
(
この
)
艦長
(
かんちやう
)
の
眼元
(
めもと
)
——
其
(
その
)
口元
(
くちもと
)
——
私
(
わたくし
)
が
甞
(
かつ
)
て
記臆
(
きおく
)
せし、
誰人
(
たれ
)
かの
懷
(
なつ
)
かしい
顏
(
かほ
)
に、よくも/\
似
(
に
)
て
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
と
思
(
おも
)
つたが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
しかし道徳は
未
(
いま
)
だ
甞
(
かつ
)
て、良心の良の字も造ったことはない。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
甞
(
かつ
)
ては、
吾
(
われ
)
もなよびかの
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
熊は時々馬匹に害を与うるを以て、
甞
(
かつ
)
てアイヌ一名を
傭置
(
やといお
)
き、一頭を捕れば金五円
宛
(
ずつ
)
を臨時賞として与うることとせり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
出勤刻限
(
しゆつきんこくげん
)
の
電車
(
でんしや
)
の
道伴
(
みちづれ
)
程
(
ほど
)
殺風景
(
さつぷうけい
)
なものはない。
革
(
かは
)
にぶら
下
(
さ
)
がるにしても、
天鵞絨
(
びろうど
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けるにしても、
人間的
(
にんげんてき
)
な
優
(
やさ
)
しい
心持
(
こゝろもち
)
の
起
(
おこ
)
つた
試
(
ためし
)
は
未
(
いま
)
だ
甞
(
かつ
)
てない。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
我
(
われ
)
未
(
いま
)
だ
甞
(
かつ
)
て見ざりつる絶壁!
危
(
あやふ
)
しとも、
可恐
(
おそろ
)
しとも、夢ならずして
争
(
いかで
)
か飛下り得べき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
甞
(
かつ
)
て
法廷
(
ほふてい
)
に
行
(
い
)
つたことがありませんでした、
只
(
たゞ
)
それを
書物
(
しよもつ
)
で
讀
(
よ
)
んだばかりでしたが、それでも
其處
(
そこ
)
にある
大抵
(
たいてい
)
の
物
(
もの
)
の
名
(
な
)
を
知
(
し
)
ることが
出來
(
でき
)
たので、
非常
(
ひじやう
)
に
悦
(
よろこ
)
んでゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
沙魚
(
ふか
)
の
領海
(
りようかい
)
とは
隨分
(
ずゐぶん
)
奇妙
(
きめう
)
な
名稱
(
めいしやう
)
だが、
實際
(
じつさい
)
印度洋
(
インドやう
)
中
(
ちう
)
マルダイブ
群島
(
ぐんとう
)
から
數千里
(
すせんり
)
南方
(
なんほう
)
に
當
(
あた
)
つて、
斯
(
かゝ
)
る
塲所
(
ばしよ
)
のあるといふ
事
(
こと
)
は、
甞
(
かつ
)
て
或
(
ある
)
地理書
(
ちりしよ
)
で
讀
(
よ
)
んだ
事
(
こと
)
があるが、
今
(
いま
)
、
吾等
(
われら
)
の
目撃
(
もくげき
)
したのは
確
(
たし
)
かにそれだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
父の様に、こんな波は昔の人は描かないものだから、法にかなっていないなどという批評は、双方共に、
未
(
いま
)
だ
甞
(
かつ
)
て
如何
(
いか
)
なる
画
(
が
)
に対しても加えた事はなかった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
のみならず、一度熟睡さえすれば、あとは
身体
(
からだ
)
に何の故障も認める事が出来なかった。
甞
(
かつ
)
て何かのはずみに、兄と
競
(
せ
)
り飲みをやって、三合入の
徳利
(
とくり
)
を十三本倒した事がある。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
催促
(
さいそく
)
すると、まだ
先方
(
せんぱう
)
から
戻
(
もど
)
つて
參
(
まゐ
)
りませんからとか
何
(
なん
)
とか
言譯
(
いひわけ
)
をする
丈
(
だけ
)
で
甞
(
かつ
)
て
埒
(
らち
)
の
明
(
あ
)
いた
試
(
ためし
)
がなかつたが、とう/\
持
(
も
)
ち
切
(
き
)
れなくなつたと
見
(
み
)
えて、
何處
(
どこ
)
かへ
姿
(
すがた
)
を
隱
(
かく
)
して
仕舞
(
しま
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
甞
部首:⽢
13画
“甞”を含む語句
新甞
臥薪甞胆
大甞会
大甞
孟甞君
新甞会
新甞屋
未甞
皆未甞出於吾道之外
相甞
神甞
神甞祭
總甞