“異”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ちが30.3%
こと23.7%
11.4%
ことな11.1%
かわ8.0%
おつ4.1%
かは3.5%
あや3.2%
あやし1.3%
0.4%
0.4%
ちがい0.3%
おか0.3%
0.3%
をか0.3%
ちげ0.1%
をかし0.1%
あやしみ0.1%
0.1%
かわん0.1%
ことなる0.1%
ことなること0.1%
ことに0.1%
ちご0.1%
わざ0.1%
コト0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
いまとはちがってそのころは武士町の高窓たかまどに灯がうっすりと漏れているだけで、道路の上はただうるしのような闇になっているのです。
ゆめの話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
それぞれにことなる光をつつむわれらの宝玉よ。うたがいもなく、すべての嬰児みどりごが宝玉である。母性の上に与えられた大いなる祝福よ。
最も楽しい事業 (新字新仮名) / 羽仁もと子(著)
想像の眼で見るにはあまりに陳腐ちんぷ過ぎる彼の姿が津田の頭の中に出て来た。この夏会った時の彼の服装なりもおのずと思い出された。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
日本にほん化物ばけもの貧弱ひんじやくなのにたいして、支那しなるとまつたことなる、支那しなはあのとほ尨大ぼうだいくにであつて、西にしには崑崙雪山こんろんせつざん諸峰しよぼう際涯はてしなくつらな
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
これが全身まるで彫刻製作されるとなると、原図案とはまたかわったものとなることであるが、おおむねこの原図によったものでありました。
鉄に謝罪るわけはないが親方の一言に堪忍がまんして私も謝罪りに行きましたが、それからおつなものでいつとなく鉄とは仲好しになり
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
伯父の家に戻つてからの生活は、以前と少しもかはらないものであつた。退院した翌日から、掃除、飯焚などの水仕事を私はやつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
それきり何の音沙汰おとさたもない。昨夜ゆうべは一ト晩中寝ないで待ったが、今朝になっても帰されて来ぬところを見ると、今日もどうやらあやしい。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
さしも遣る方無くかなしめりし貫一は、その悲をたちどころに抜くべきすべを今覚れり。看々みるみる涙のほほかわけるあたりに、あやしあがれる気有きありて青く耀かがやきぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「逢はねどもしき心をわが思はなくに」(巻十四・三四八二)、「然れどもしき心をあがおもはなくに」(巻十五・三五八八)等の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
よく似ているからこの「あさにけに」の「けに」を「日に異に」の「に」と同じ意味に解釈しているものもありますが、「食」と「異」はケの乙類と甲類とにわかれていて
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
「——善信御房は、そういうお考えとすると、御自身の信心も、師の上人の信心も、同じである、一つである、少しもちがいはないと仰せられるのか」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
廊下を通うおんなを呼び止めて、唄の主はたれと聞けば、顔を見ておかしく笑う。さては大方美しき人なるべし。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
わったことのおおせかな。お夏さんはッと見ている。帯も襟も、顔なんざその夕日にほんのりと色がさして、矢筈やはずの紺も、紫のように見えましたがね。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
不図のつそりの噂に火が飛べば、とろりとなりし眼を急に見張つて、ぐにやりとして居し肩をそばだて、冷たうなつた飲みかけの酒ををかしく唇まげながら吸ひ干し
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「うん」と云うと若者は、その殺気立った燃えるような眼で、人混の中へ消え去ろうとする娘の姿を見送ったが、「ちげいねえよ、あの阿魔あまだよ」
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「どうも私はこの間からをかしいわいと思つてゐたのですが、どうも様子がね、内のひとがあの別品さんに係合かかりあひを付けてゐやしないかと思ふの——どうもそれに違無いの!」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
頭に物を載せてあゆみ自らこれを知らざる人、ほかの人々の素振そぶりをみてはじめてあやしみの心をおこせば 一二七—一二九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
林「う邪魔にせなえでもえが、是でちゃんと縁附えんづくけまっているからね、知らず/\して縁はな物味な物といって、ちゃんときまっているからね」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ハアそうですか、それは。それでも母親さんは何時いつもおかわんなすったことも無くッて」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
雪吹ふゞきの人をころす事大方右にるゐす。暖地だんちの人花のちるくらべ美賞びしやうする雪吹ふゞきと其ことなること、潮干しほひあそびてたのしむ洪濤つなみおぼれくるしむとのごとし。雪国の難義なんぎ暖地だんちの人おもひはかるべし。
然れどもおなじきことなることを別たずして、倶に天皇のみことのりままに、相たすけてさかふること無からむ。し今より以後のちちかひの如くならずば、身命いのちほろび、子孫うみのこ絶えむ。忘れじあやまたじ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
高橋梅たかはしうめすなわち僕の養母は僕の真実の母、うみの母であったのです。さい里子さとこは父をことにした僕の妹であったのです。如何どうです、これがあやしい運命でなくて何としましょう。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
熱もないようになっているのにちごうたことをいい出したので、さあ、これは大変なことになった思うて心配しました。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
並の女とわざらないやうな表情で嬉し相に其等の TOUTES CHOSES を見比べて居る女の顔をじつと見た。
素描 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
感情の比較的強度をコトにすることの多い言語の媒介によるよりも、寧ろ、情調を直通せしむるといふ方法を採る立ち場の出来る理由があるのである。
和歌批判の範疇 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)