“ちご”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:チゴ
語句割合
稚児37.5%
稚子18.8%
15.6%
10.2%
稚兒5.5%
2.3%
童僕0.8%
乳児0.8%
乳子0.8%
児女0.8%
0.8%
嬰児0.8%
小兒0.8%
0.8%
0.8%
0.8%
痴語0.8%
穉児0.8%
穉子0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ちょうどその時分、やはり俗体のままのお稚児ちごで、奥向きのお給仕を勤めておられた衆のなかに、松王まつおう丸という方がございました。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
一人で住んでいるのではなく、この世の人間とは想われないほどに、気高い美しいお稚子ちごさんと、一緒に住んでいるという噂なのであった。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ちごを静かに寝床にうつして、女子をなごはやをらたちあがりぬ。ざしさだまりて口元かたく結びたるまゝ、畳の破れに足も取られず、心ざすは何物ぞ。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「気持悪るおしたやろ。そやけど、そんなこと言うて居られへん。外とちごて、大事な眼どすよつて、愚図々々してたらあかん思うてな。」
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
婦人ふじんたちの、一度いちどをさましたとき、あの不思議ふしぎめんは、上﨟じやうらふのやうに、おきなのやうに、稚兒ちごのやうに、なごやかに、やさしくつて莞爾につこりした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
贄櫃モンストランチアの前には、ちごあまた提香爐ひさげかうろを振り動かして歩めり。これに續きたるは、こゝらあたりの美しき少女をり出でて、花の環を取らせたるなり。
「お客人、どうしてくれる? おまえさんの供の童僕ちごめが、わしんとこの若い衆をぶンなぐって血ヘドを吐かせた」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つこと、第二には、わしの童僕ちごとなって何事もハイハイと服従すること。第三……これはむずかしい。おしのまねして、決して口はきかぬことだ。どうだ、できるか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
知らぬ間に荒れた板葺いたぶきのひまから月が洩れて、乳児ちごの顔にあたり、それを無気味に青ざめさせていた。
姨捨 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
見するも過世すぐせ因縁いんえんなるか不便の者をとかこちしが我から心を鬼になし道途だうとに迷ふ親の身をたすかる手便てだては此乳子ちごを捨るより外に思案なしと我が子の寢顏ねがほを打ながめ涙ながらに心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
嬉遊笑覧きゆうしょうらん六上に相州厚木辺で、古雛を川に流すとて棧俵さんだわらなどに載せ、児女ちご白酒しろざけの銚子を携えて河原に出で、別れを惜しみて一同に悲しみ泣くとあるが、これを他のいろいろの実例と合わせ考えると
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その次には金香炉きんこうろ及び種々の宝物箱ほうぶつばこを持ったちごが出て来まして、気狂きちがいはその後から来るのです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
光秀には、その蕪が、見ているうちに、裸の嬰児ちごが、手をひろげて、欠伸あくびしているように見えて来た。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小兒ちごうつくしきさまるべきを、格子かうしそとよりうかゞふに燈火ともしびぼんやりとして障子しようじうるるかげもし、お美尾みを美尾みをよびながらるに、こたへはとなりかたきこえて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
天に二つの日を掛けたるがごとし、ならべるつのするどにして、冬枯れの森のこずえに異ならず、くろがねの牙上下にちごふて、紅の舌ほのおを吐くかと怪しまる、もし尋常よのつねの人これを見ば、目もくれ魂消えて
「気でもちごうたのか、あの沢庵坊主、今朝聞けば、飛んでもないことを引き受けたちゅうぞ」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
熱もないようになっているのにちごうたことをいい出したので、さあ、これは大変なことになった思うて心配しました。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
白粉おしろいあともないほど、巧雲こううんしょうを失った姿で寝入っていたが、後朝きぬぎぬともなれば、まだ飽かない痴語ちごも出て、男の胸へまといつく。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところがその爆撃も穉児ちごどものへそをねらふといふことになると、おなじく恐ろしくとも可憐かれんな気持が出て来て好いものである。
雷談義 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
無心の穉子ちごの耳にしも
天地有情 (旧字旧仮名) / 土井晩翠(著)