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稚子
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ちご
ふりがな文庫
“
稚子
(
ちご
)” の例文
白骨になると、女は別の坊主の首を持ってくるように命じました。新しい坊主の首はまだうら若い水々しい
稚子
(
ちご
)
の美しさが残っていました。
桜の森の満開の下
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
一人で住んでいるのではなく、この世の人間とは想われないほどに、気高い美しいお
稚子
(
ちご
)
さんと、一緒に住んでいるという噂なのであった。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
クリクリとして、美しいお
稚子
(
ちご
)
人形のようであった新九郎は、その母に連れられて、城下端れへ宮詣りに行ったことがある。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「今はあんた、立派なお寺さんになられましてね、何年か前に住職が死なれて、今はそのお
稚子
(
ちご
)
はんの時代で、まだ学校へ行つとられますぢや?」
念仏の家
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
柔道初段の長田が(彼は学校を自分一人の学校のように
平常
(
ふだん
)
からあつかっていた)美少年の深井に、「
稚子
(
ちご
)
さん」になれ、と脅迫しているところだった。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
▼ もっと見る
車百合、
稚子
(
ちご
)
百合、白花蛇イチゴ、コケモモ、ゴゼンタチバナ、ヤマオダマキなどが、陰森たる白ビソ、米ツガ、落葉松などの下蔭にうずくまっている。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
どうか
旱魃
(
かんばつ
)
の時にはこの村の田畑に水の枯れぬように、どうか小供の水難を救われるようにと
祈祷
(
きとう
)
をして、さてこの池をば
稚子
(
ちご
)
が
淵
(
ふち
)
の
明神
(
みょうじん
)
と名づけたのである。
稚子ヶ淵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
も少し若い人達には福髷が流行り、七、八つから十一、二迄の娘さんはお
稚子
(
ちご
)
髷に結つてゐた。
写生帖の思ひ出
(新字旧仮名)
/
上村松園
(著)
比叡山西塔の南谷に
鐘下房少輔
(
しょうげぼうしょうゆう
)
という頭脳のよい僧侶があったが、弟子の
稚子
(
ちご
)
に死なれて眼前の無常に驚き、三十六の年遁世して法然の弟子となり、成覚房幸西といったが
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お前が
己
(
おれ
)
の
稚子
(
ちご
)
だつて。お前はおれに連れられて吉原を見物に行つたつて事まで……
少年の死
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
稚子
(
ちご
)
あそぶ
賽
(
さい
)
の河原は
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「なるほど。紫なら乱軍のなかでも、千寿王どののいる所は遠目にもすぐ知れよう。
稚子
(
ちご
)
大将にふさわしいお旗だ。よい思いつきと存ずるがの」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
〽柳の下のお
稚子
(
ちご
)
様は、朝日に向こうて、お色が黒い——おいでくだされ、おいでくだされ
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
噴泉
(
ふきあげ
)
からさらさらと黄金が流るる。真昼のやうに日が照るわ。はれ、見られい、見られい。
翼
(
はね
)
の生えた可愛い
稚子
(
ちご
)
が舞ひながらおぢやつたわ。はれ、皆が一斉に祈を上げておぢやるわ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
稚子
(
ちご
)
なれば
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
麓
(
ふもと
)
の白川口には、一
輛
(
りょう
)
の
輦
(
くるま
)
が待っていた。二人の
稚子
(
ちご
)
と牛飼の男が、そばの
草叢
(
くさむら
)
に腰をすえて、さびしげに雲を見ている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
〽柳の下のお
稚子
(
ちご
)
様は、朝日に向こうてお色が黒い、お色が黒くば笠を召せ……
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その吉光御前というお方こそ、自分が主命をうけて、機会さえあれば世に出そうと苦心している鞍馬の
稚子
(
ちご
)
遮那王
(
しゃなおう
)
の
従姉
(
いとこ
)
にあたる人なのであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寝よげに見える東山の、
円
(
まろ
)
らの姿は
薄墨
(
うすずみ
)
よりも淡く、霞の奥所にまどろんでおれば、
知恩院
(
ちおんいん
)
、
聖護院
(
しょうごいん
)
、
勧修寺
(
かんじゅじ
)
あたりの、寺々の僧侶たちも
稚子
(
ちご
)
たちも、安らかにまどろんでいることであろう。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「その下の乳呑みは、鞍馬へ追いあげられ、
稚子
(
ちご
)
となっていたそうじゃが、いつの間にやら、それも巣立ちして、
陸奥
(
みちのく
)
へ逃げ走ってしもうたとか」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まあ、とうとう、鞍馬を
下山
(
おり
)
てしまわれたか。——あの
稚子
(
ちご
)
ばかりは父御の末路を踏ましとうないと祈っていたが」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ほかにも同じ年頃の
稚子
(
ちご
)
はたくさんいるので、その中に
交
(
ま
)
じっている牛若が、ややほかの童子とくらべてどこか異色が見えたりなどする折に、法師仲間で
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おまえはそれでよかろうが、師の
快川国師
(
かいせんこくし
)
にとって不利だろう。快川のほかにも、一山にはまだ、たくさんな長老、衆僧、
稚子
(
ちご
)
、雲水などいるだろうに」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われは菊池入道の子、三郎頼隆と申す者、
童名
(
どうみやう
)
菊一とて、
有智山
(
うちやま
)
の
稚子
(
ちご
)
にて
候
(
さふら
)
ひし、人みな知つて候ふ……
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
振り顧ると、
稚子
(
ちご
)
を連れたひとりの老僧が、廻廊の横に立っている。与次は、それへ向って、すぐ云った。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
みな、
一偈
(
いちげ
)
を唱えた。もう焔は
欄
(
らん
)
をこえて、快川のすそを焦がしていた。
稚子
(
ちご
)
老幼の
阿鼻叫喚
(
あびきょうかん
)
はいうまでもない。いま
偈
(
げ
)
を叫んだ僧も
唸
(
うめ
)
いてのたうちまわっていた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
薙
(
な
)
ぎられた
芒
(
すすき
)
のあとは義貞の
茵
(
しとね
)
と千寿王のすわる座敷になった。——やがて輿からおろされた千寿王はほんとにきれいな
稚子
(
ちご
)
だった。かぞえ年五ツであった。でも
躾
(
しつけ
)
はある。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鞍馬の一
稚子
(
ちご
)
を擁して、ここ毎夜毎夜、僧正ヶ谷の闇へ誘い出しているのでした。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
相国からご不興をうけたかどとは鞍馬の
稚子
(
ちご
)
を
繞
(
めぐ
)
って、近ごろ諸天狗が出没するという怪聞でしょう。うわさはなかなかあるようですな。てまえも仲間の者から
疾
(
と
)
く聞き及んでいます。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またお供の
李逵
(
りき
)
といえば、これは道者の
稚子
(
ちご
)
と化けて、バサラ髪を二つに分けた
総角
(
あげまき
)
に
結
(
ゆ
)
い、着物は
短褐
(
たんかつ
)
という袖無しの短い
袴
(
はかま
)
、それへ
交
(
ま
)
ぜ
編
(
あみ
)
の細ヒモ締めて、足は元来の黒い素はだし
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
導師の僧正は長者ノ
輿
(
こし
)
に乗り、力者十二人がかつぎ、大童子、そば侍四人、
仕丁
(
しちょう
)
らがつき添い、
法橋
(
ほっきょう
)
以下の僧官やら一隊の侍やら、
仲間
(
ちゅうげん
)
、
随聞
(
ずいもん
)
、
稚子
(
ちご
)
まで目をうばうばかり華麗な列だった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すぐる
歳
(
とし
)
、元亀二年の秋、
叡山
(
えいざん
)
焼打の折には、この光秀も一手の
先鋒
(
せんぽう
)
を命ぜられ、山上の根本中堂、山王二十一社、そのほかの霊社仏塔、
悉
(
ことごと
)
くを
焔
(
ほのお
)
となし、刃向う僧兵のみか、
稚子
(
ちご
)
上人
(
しょうにん
)
、
凡下
(
ぼんげ
)
高僧
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
食事の終った頃、住職はあらためて、
稚子
(
ちご
)
の佐吉を
伴
(
つ
)
れて来た。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
稚子
(
ちご
)
。もう一服」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「来たわ、
稚子
(
ちご
)
が」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“稚子”の意味
《名詞》
幼児。稚児。
(出典:Wiktionary)
稚
常用漢字
中学
部首:⽲
13画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“稚子”で始まる語句
稚子髷
稚子輪
稚子僧
稚子君
稚子攫
稚子等
稚子髪
稚子輪髷