念仏の家ねんぶつのいえ
私の家の祖先は、越中の国水橋といふ小さな漁村の生れであつた。 「有磯の海」といふのである。枕の草紙に、「渡りはしかすがの渡、こりずまの渡、みづはしの渡」とある。その水橋である。文治二年正月末、源義経主従十七人が山伏の姿となつて奥州へ落去の途 …