“怠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おこた53.4%
なま28.2%
だる3.8%
なまけ3.4%
おこ2.6%
おこたり2.1%
2.1%
たゆ0.9%
ずる0.9%
おこたる0.4%
おほろか0.4%
おろ0.4%
ずるけ0.4%
たい0.4%
たる0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
だから事件が錯綜纏綿さくそうてんめんしてもつれながら読者をぐいぐい引込んで行くよりも、其地方の年中行事をおこたりなく丹念に平叙して行くうちに
その逼迫ひっぱくしている急場の足もとをつけこみ、故意になまけてはそれを揶揄やゆし、むちいられれば俄然不平を鳴らすというふうであった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分が六つめの梯子まで来た時は、手がだるくなって、足がふるえ出して、妙な息が出て来た。下を見ると初さんの姿はとくの昔に消えている。見れば見るほど真闇まっくらだ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
後で解つたが、名はお芳と云つて、稼ぐ時は馬鹿に稼ぐ、なまける時は幾何いくら主婦おかみに怒鳴られても平氣で怠ける、といふ、隨分氣紛きまぐれ者であつた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
はげしい生の歓喜を夢のようにぼかしてしまうと同時に、今の歓喜に伴なう生々なまなましい苦痛もける手段をおこたらないのである。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は次第にその人と近づきになり、さうしてその間、おこたりなき注意をこの人に払つて彼の知遇を得るために努めたので、相手の態度だけはいつも見逃さないだけになつた。
母に近く、部屋の壁にもたれかゝって池上の息子が後頭部へ腕框をあてがいながら、るそうに足を前に投げ出していました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼の病はいまだ快からぬにや、薄仮粧うすげしやうしたる顔色も散りたるはなびらのやうに衰へて、足のはこびたゆげに、ともすればかしらるるを、思出おもひいだしては努めて梢をながむるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
学校をずるけて、船で淡島へ渡って、鳥居前、あの頂辺てっぺんで弁当を食べるなぞはお茶の子だったものですが、さて、この三津、重寺、口野一帯と来ますと
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一 女は常に心遣こころづかひして其身を堅くつつしみまもるべし。朝早く起き夜は遅くね、昼はいねずして家の内のことに心を用ひ、おりぬいうみつむぎおこたるべからず。又茶酒など多くのむべからず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
その兄をりて、「一つには天皇にまし、一つには兄弟はらからにますを、何ぞは恃もしき心もなく、その兄をりまつれることを聞きつつ、驚きもせずて、おほろかに坐せる」
金銀珠玉はおろか、文久一枚出て来なかったのです。
古城の真昼 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
また小奇用こぎようで、何一ツ知らぬという事の無い代り、これ一ツ卓絶すぐれて出来るという芸もない、ずるけるが性分であきるが病だといえばそれもそのはずか。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
……その時田沼は感激して、涙を流したということだ。……それだのに私のお父上が、この世を辞してからというものは、千たい沙汰の限りの態だ。
十二神貝十郎手柄話 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
生活の大河は、その火花のような恋、焔のような愛を包括してたるみなく静かに流れて行く。
愛は神秘な修道場 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)