“倦怠”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
けんたい70.9%
だる4.7%
アンニュイ4.7%
けた2.4%
けったる2.4%
けたる1.6%
けだる1.6%
だるさ1.6%
アンニユイ1.6%
あき0.8%
(他:10)7.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“倦怠”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語36.5%
文学 > ドイツ文学 > 小説 物語8.7%
文学 > 英米文学 > 小説 物語6.9%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「どうだ、種馬になったら」と、波田が混ぜっかえして、そのまま、死のような倦怠けんたいへと、一切は吸い込まれてしまった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
この映画の編集ぶりは少ししまりがないようである。同じような場面の繰り返しが多すぎて倦怠けんたいを招く箇所が少なくない。
映画雑感(Ⅲ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかしいよいよ起きて顔を洗う段になると、何時もの冷水摩擦が退儀な位身体からだ倦怠だるくなってきた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのあとをまた強い日で照り付けられるのですから、身体からだ倦怠だるくてぐたぐたになりました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
疲労または倦怠アンニュイが一たんそうしたものに変わったが最後、いつも私は終わりまでその犠牲になり通さなければならないのだった。
冬の蠅 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
しかしそれを助けてやるというような気持は私の倦怠アンニュイからは起こって来ない。
冬の蠅 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
「しかしああ込んじゃたまらないよ」と宗助が机のはじひじを持たせながら、倦怠けたるそうに云った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただ寝の足りないまぶちが急にさわやかな光に照らされて、それに抵抗するのがいかにもものういと云ったような一種の倦怠けたるさが見えた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのなよなよした姿のほほえみが血球となって、僕の血管を循環するのか、僕は筋肉がゆるんで、がッかり疲労し、手も不断よりは重く、足も常よりは倦怠けったるいのをおぼえた。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
東片町時代には大分老耄ろうもうして居睡いねむりばかりしていたが、この婆さん猫が時々二葉亭の膝へ這上はいあがって甘垂あまったれ声をして倦怠けったるそうにじゃれていた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
冷吉は寢飽きたやうに倦怠けたるく蒲團をめくつた。何だか外の冷いやうな中に出て、かうした氣分を忘れ紛らしたい。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
舌が重々しくぱさついて、熱のある人のように身体全体が倦怠けたるかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
倦怠けだるいような、銷沈けうといような、頭の血がすっと下ったという感じで、まるで夢見るような気持で、彼は手に持った二つの名を、ぼんやりと見詰めているのだ。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
午睡のあとの倦怠けだるさに雪駄ものうく
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それから頭痛、のぼせ、肩の凝り、体の倦怠だるさ、足腰の痛みなど絶えてなく、按摩あんまは私には全く用がありません。
このごろのように、苦労が一倍多かったり、病気が悪くなって来ると、恢復期に彼女の心に起ったような、優しい潤いのある心持は、すっかりどうかなってしまって、不安な焦躁もがきと、倦怠だるさが心一杯に拡がった。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そこで津藤は、これを嫖客へうかくのかかりやすい倦怠アンニユイだと解釈した。
孤独地獄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それには五分の光りも見出せない、叙情味もない、思索もないと云ふて深刻な憂鬱もなければ、倦怠アンニユイの人生も覗かれない……意久地なさ、悪るふざけ、他人の悪口、おべつかつかひ、さう思つて彼女の知るだけの夫の経験を回想して見たが
(新字旧仮名) / 牧野信一(著)
倦怠あきが来ると、た病気が起る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
倦怠けだいのうちに死を夢む
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
そのときになると、あの荒涼とした物の輝き一つない倦怠けだるさの中から、妙に音のような、なんとなく鎖が引摺られてゆくのに似た、響が聞えてきて、しかも、それが今にも、皮質をぐるぐる捲き付けて、動けなくでもしてしまいそうな、なにかしら一つの、怖ろしい節奏リトムスがあるように思われるのだった。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
何にも為る事がない、ただもう倦怠るい、仕方が無いので妹の鏡台を縁側に持ち出して又かうやつて剃刀の刃をあたる。
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
じっとして、布団の中に膝頭ひざがしらを横たえていると、倦怠だるいのを通り越して重い。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
太鼓たいこ倦怠だれれば
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「さうだことあねえで、そらたつとかうてえつんだすもんだ、倦怠まだるつこくつてやうねえ此等こツらがな」先刻さつきぢいさんはまたぱいをぐつとして呶鳴どなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さけんぢやわりいなんて醫者いしやなんちや駄目だめだなかたで、檳榔樹びんらうじゆとかなんとかだなんてちつとばかしづゝ、けづつたくすりなんぞ倦怠まだるつこくつてやうねえから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
男女の朝鮮人の農民が、ぼんやり集まって、倦怠ものうそうに路上に立ったりしゃがんだりしている。
「理知の人」にあっては、「精神の肉体」に、恐らく彼に残された、もはや薄い、生命の衣、倦怠アニュイという衣がからみついている。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
僕は、あの、どうしようもない倦怠アニュイに身をもってぶつかったのではなかったか。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
「初めの二枚ばかり、厭だね。全体に調子が甘い。——殊に書き出しの甘さッたらない、歯が浮いたよ。それから、第一主題テーマが、恰であそびだ。魂に触れる何物もないぢやないか。何らの象徴シムボルがない。……憧憬もない、と云つてまた倦怠アンニユーのメランコリアもない。ただ君の例の、蒼白い心の戦慄とでも云つたやうな詩的な気分は軽い調子で割合に好く出てゐたよ。」鶴村が此処で一寸言葉を絶やすと
眠い一日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
スランプトハ、コノ様ナ、パッション消エタル白日ノ下ノ倦怠ケンタイ、真空管ノ中ノ重サ失ッタ羽毛、ナカナカ、ヤリキレヌモノデアル。
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)