倦怠けったる)” の例文
東片町時代には大分老耄ろうもうして居睡いねむりばかりしていたが、この婆さん猫が時々二葉亭の膝へ這上はいあがって甘垂あまったれ声をして倦怠けったるそうにじゃれていた。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
そのなよなよした姿のほほえみが血球となって、僕の血管を循環するのか、僕は筋肉がゆるんで、がッかり疲労し、手も不断よりは重く、足も常よりは倦怠けったるいのをおぼえた。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
そんなに倦怠けったるうがすかい。全く陽気の加減だね。どうも春てえやつあ、やに身体からだがなまけやがって——まあ一ぷく御上おあがんなさい。一人で志保田にいちゃ、退屈でしょう。ちと話しに御出おいでなせえ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)