倦怠けた)” の例文
「しかしああ込んじゃたまらないよ」と宗助が机のはじひじを持たせながら、倦怠けたるそうに云った。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしあゝんぢやたまらないよ」と宗助そうすけつくゑはじひぢたせながら、倦怠けたるさうにつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今朝けさ見ると彼女の眼にどこといって浪漫的ロマンてきな光は射していなかった。ただ寝の足りないまぶちが急にさわやかな光に照らされて、それに抵抗するのがいかにもものういと云ったような一種の倦怠けたるさが見えた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
古き寺、古きやしろ、神の森、仏の丘をおおうて、いそぐ事をせぬ京の日はようやく暮れた。倦怠けたるい夕べである。消えて行くすべてのものの上に、星ばかり取り残されて、それすらも判然はきとは映らぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)