“けだる”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
気懶45.9%
気懈16.2%
倦怠8.1%
懈怠8.1%
気倦5.4%
気怠5.4%
2.7%
2.7%
氣懈2.7%
氣懶2.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そうして、伸子一人が残された室内には、しばらくゆるみきった、気懶けだるい沈黙が漂っていた——ああ、あの異常な早熟児が犯人だったとは。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
下界は隈なくしろがねの光にあふれ、妙なる空気は爽やかにも息苦しく、甘い気懈けだるさを孕んで、薫香の大海うみをゆすぶつてゐる。
彼もちあがって勘定をはらってそこを出たが、ひどく倦怠けだるいような気持になって、げっそりしていた。
孤独 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「をツさん、筆……筆。」と、お文は銀場の筆を叔父の手から取り戻して、懈怠けだるさうに、叔父の肥つた膝の温味ぬくみの殘つた座蒲團の上に坐ると、出ないのを無理に吐き出すやうな欠伸を一つした。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
すると盲乞食は気倦けだるそうに肩を一つゆすぶって、独りごとをいった。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
行くてにあたる甲州の山と相模さがみ平野の間にかけて、白い雲の峰が高いのも、にわかに夏らしく感じられて、ムッとするような草いきれの広野を、気怠けだるそうな人の足どりと馬の鈴が
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家系に黒人の血でも混入しているのか、浅黒い琥珀色こはくいろの皮膚をしていて、それがまた、魅惑を助けて相手の好奇心をそそる。けだるい光りを放つ、鳶色とびいろの大きな眼。強い口唇に漂っている曖昧あいまいな微笑。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
『ワツハハ。』けだるい笑方をして、松太郎は顔を上げた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
『ワッハハ。』氣懈けだるい笑ひ方をして、松太郎は顏を上げた。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
陰鬱な氣懶けだるい氣持は夜が更けるにつれて刻々に骨のずいまで喰ひ込んだ。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)