“うみ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウミ
語句割合
55.7%
17.2%
12.9%
5.9%
2.3%
1.5%
0.6%
0.6%
湖水0.6%
膿汁0.6%
不弥0.2%
0.2%
化膿0.2%
地中海0.2%
大海0.2%
宇美0.2%
0.2%
海洋0.2%
海面0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ちょうどひるごろでありました。おとうとが、そとから、だれかともだちに、「うみぼたる」だといって、一ぴきおおきなほたるをもらってきました。
海ぼたる (新字新仮名) / 小川未明(著)
柱に押しつけている一人の女の、両の乳房は左右へはみ出し、つぶれてうみでも出しそうに見えた。そうも熱心にすがっているのであった。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
刀は抜けてうみに沈んで、小刀しょうとうばかり帯に残つたが、したくがに成つた時、砂浜のなぎさに少年を落して、鷲は目の上の絶壁の大巌おおいわに翼を休めた。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そうでなくてさえして年を取った親心には、可愛いうみの娘に長い間、苦労をさした男は、訳もなく唯、仇敵かたきよりも憎い。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
人の霊魂のうみ劬労くるしみは実にこれである。かかる道程を経て進歩するのである。さればヨブ記の実験記たるはますます明かである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
結局のところ濠洲黄金狂時代の申し子であった巨船「グレート・イースタアン」が、結局のところ大西洋を——他人のうみを——稼がねばならん破目はめとなった。
黒船前後 (新字新仮名) / 服部之総(著)
一 女は常に心遣こころづかひして其身を堅くつつしみまもるべし。朝早く起き夜は遅くね、昼はいねずして家の内のことに心を用ひ、おりぬいうみつむぎおこたるべからず。又茶酒など多くのむべからず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
百樹曰、小千谷をぢやちなみにいふ、小千谷の岩居がんきよが家に旅宿せし時(天保七年八月)或日あるひふでとるうみ、山水の秋景しうけいばやとてひとりたちいで、小千谷の前に流るゝ川に臨岡のぞむをかにのぼり、用意したるしよをかく。
石油の湖水うみ、それに泛ぶ女王ザチの画舫がほう。なんて、馬鹿な夢を見続けていたもんだと、かえって折竹を恨めしげにみる始末。と、引き返すことになったその夜のことである。
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
見ればその足の甲から、青い膿汁うみが一升もあふれ出ているではないか。それは、またこの清澄な天界に、な人間のにおいと、っ切れた万鬱ばんうつの香気とを放っていた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は十数日の間深い山々を廻っていた。そうして、彼は不弥うみへ出た。かつてあの不弥の宮で生命を断たれようとした若者は彼であった。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
不弥うみの宮には、王女卑弥呼ひみこの婚姻の夜が来た。卑弥呼は寝殿の居室で、三人の侍女を使いながら式場に出るべき装いを整えていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
火星くわせいにはみづすくない。もしうみがあるとすれば、はるゆきどけのときだけできるあさい海うみだ。)
薬屋から薬も買えない。毎日沈んだ顔色をして人知れず溜息ばかりついていたが、腫物は化膿うみもせず四、五日中に拭いたように直ってしまった。
心づくし (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この碧玉の岸コート・ダジールにも、椰子やしが並んでいるでしょう。地中海うみを越した向うは、アフリカの熱帯地ですよ。それ、あすこがコルシカ島。先日話したナポレオンのこと知ってるでしょう。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
下界は隈なくしろがねの光にあふれ、妙なる空気は爽やかにも息苦しく、甘い気懈けだるさを孕んで、薫香の大海うみをゆすぶつてゐる。
唐津、名護屋なごや怡土いと城、太宰府、水城みずき宇美うみ筥崎はこざき多々羅たたら宗像むなかた、葦屋、志賀島しかのしま残島のこのしま、玄海島、日本海海戦の沖の島なんて見ろ、屈辱外交の旧跡なんて薬にしたくもないから豪気だろう。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「貞造は、貴女のうみの父親で、またある意味から申すと、貴女の生命の恩人ですよ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まだ、どこかで遠い海洋うみの呟やきにも似た足拍子の音だけは聞えてゐたが、間もなく一切の万象ものみなが空寂の底に沈んでしまつた。
海面うみに浮いて、空を、じつと眺めてゐると、無念無想、蒼空おほぞらの大きく無限なることをしみ/″\とおもふ——
(旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)