うみ)” の例文
高山こうざんふもとの谷は深い。世界第一の高峻こうしゅん雪山せつさんつ印度のうみは、幾干いくばくの人の死体を埋めても埋めても埋めきれぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
結局のところ濠洲黄金狂時代の申し子であった巨船「グレート・イースタアン」が、結局のところ大西洋を——他人のうみを——稼がねばならん破目はめとなった。
黒船前後 (新字新仮名) / 服部之総(著)
そとうみ非業ひごうの死を遂げた幾多の亡霊が、この世の人に会いたさに、はるばると波路をたどってここまで来ると、右の「潮の路」が行手をさえぎって、ここより内へは一寸も入れない。
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
第一だいいち喜悦よろこびは、先刻せんこく輕氣球けいきゝゆううへうたがつたやうに、いまいままで、我等われらうかべるこの太洋たいやうは、大西洋たいせいやうか、はたアラビアンかいかもわからなかつたのが、只今たゞいま水兵すいへいことばで、矢張やはりわたくしおもつたどうり、このうみ
十三弦は暴風雨あらしんで、相模さがみの海に荒ぶる、うみのうなりと、風雨の雄叫おたけびを目の前に耳にするのであった。切々たる哀音は、みことを守って海神かいじんに身をにえささぐる乙橘媛おとたちばなひめの思いを伝えるのだった。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
暖きうみのながれのありてこそかかる繁りとなりにけらしも
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
りく菩提樹ぼだいじゅの蔭に「死の宗教」の花が咲いた印度のうみは、を求めてくことを知らぬ死の海である。烈しいあつさのせいもあろうが、印度洋は人の気を変にする。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
外のうみ非業ひごう最期さいごを遂げた幾多の亡霊が、この世の人に会いたさに、遥々はるばるの波路をたどってここまで来ると、右の「潮の路」が行手を遮って、ここより内へは一寸も入れないのだそうです。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
印度いんどうみけふもわたりて食卓しよくたく薯蕷汁とろろいひを人々たのしむ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
外のうみというのは、亜米利加アメリカまでつづく太平洋のことであります。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
青島あをしま木立こだちを見ればかなしかるみなみうみのしげりおもほゆ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
二つの海というのは、内の海と外のうみとであります。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)