木橋の相生橋に潮がさしてくると、座敷ごと浮きあがって見えて、この家だけが、新佃島全体ででもあるような感じに、庭の芝草までが青んで生々してくる、大川口の水ぎわに近い家の初夏だった。 「ここが好いぞ、いや、敷ものはいらん、いらん。」 広い室内の …
著者 | 長谷川時雨 |
ジャンル | 歴史 > 伝記 > 日本 |
ジャンル | 芸術・美術 > 音楽 > 邦楽 |
初出 | 「婦人公論」1938(昭和13)年5~7月 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約53分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約1時間28分(300文字/分) |