“亡父”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ちち66.1%
おやじ7.1%
ぼうふ5.4%
なきちち5.4%
なきちゝ5.4%
おやぢ3.6%
おや3.6%
おとう1.8%
とっ1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
長年の亡父ちちの遺言中にも“何事ニ依レ永観ニ談ゼヨ”とあるほどで、いわば一族の長老だが、とかくふだんは敬遠していた門なのである。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
▲死んだ亡父おやじは、御承知のとおり随分ずいぶん幽霊ものをしましたが、ある時大磯おおいその海岸を、夜歩いて行くと、あのザアザアという波の音が何となく凄いので
薄どろどろ (新字新仮名) / 尾上梅幸(著)
やがて女房にょうぼうも、このからるときがきました。子供こどもらは、はは御霊みたまをも亡父ぼうふのそれといっしょに仏壇ぶつだんなかまつったのであります。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕の耳には亡父なきちち怒罵どばの声が聞こえるのです。僕のには疲れはて身体からだを起して、何も知らない無心の子をいだき、男泣きに泣きたもうた様が見えるのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あたら名馬も飼殺しぢや。(嘆息しつゝ子之介にむかひ。)けふは二日、そちが亡父なきちゝの命日ぢやぞ。もうよいほどにして身を清め、佛前に囘向いたせ。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
亡父おやぢの言葉も有るから——叔父も彼様あゝ忠告したから——一旦秘密が自分の口かられた以上は、それが何時いつ誰の耳へ伝はらないとも限らない、先輩が細君へ話す
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「山木はね、うちの亡父おやが世話したんで、今に出入りしとるのさ。はははは、浪さんが敗北したもんだから黙ってしまったね」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
あなたの亡父おとうさんが、あなたのために考えておいたことなら、きっと、あなたがたを、良くお世話してくださるでしょう。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)