亡父ぼうふ)” の例文
やがて女房にょうぼうも、このからるときがきました。子供こどもらは、はは御霊みたまをも亡父ぼうふのそれといっしょに仏壇ぶつだんなかまつったのであります。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
死につつある孫六の顔が、兼光のように見えて来、再びそれが、亡父ぼうふ鉄斎のおもかげに変わりだしたような気がしたからだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
成長の上、坊主にするぜん申す通り、亡父ぼうふ俗吏ぞくりを勤めるのが不本意であったに違いない。れば中津を蹴飛けとばして外に出ればい。所が決してソンナ気はなかった様子だ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
れは亡父ぼうふが存命中大阪で買取かいとっことほか珍重したものと見え、蔵書目録に父の筆をもって、この東涯先生書入の易経十三冊は天下稀有けうの書なり、子孫つつしんで福澤の家におさむべしと
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かれ女房にょうぼうは、いまおばあさんとなりました。そして、彼女かのじょが、きながらえているあいだは、毎晩まいばんのように、利助りすけのさかずきにさけをついで、これを亡父ぼうふ御霊みたままつってある仏壇ぶつだんまえそなえました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
亡父ぼうふの心事を察してひとり泣くことがあります。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)