“彫”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
42.5%
きざ21.0%
ほり9.1%
ぼり6.7%
5.6%
3.6%
3.6%
ちりば1.6%
きぎ1.2%
1.2%
きざみ0.8%
ほっ0.8%
0.4%
こく0.4%
ほつ0.4%
ほる0.4%
0.4%
ゑる0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
魚眼ぎょがんというりのある眼、りのふかい鼻すじ、まゆの形、いい唇、個々に見れば見るほど、なおどこかで記憶のある女の顔であった。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雲水空善は、早くも扉の仕掛を見破ったものか、三猿をきざんだ大岩の前に積み重ねた、ひと抱えほどの岩を幾つも幾つも取除きました。
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「ですが……」と、娘もその時は、だいぶ度胸がすわって来たものでしょう、押し返して、ほりのふかい面だちを真面まともに白くふり向けて
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天井の高く、天人ぼり欄間らんまから乳いろの湯けむりの中へ、虹のような陽が射しこんでいる。わずか五尺の体を洗う御風呂場である。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分すら忘れきつた彼の人の出来あがらない心に、骨に沁み、干からびた髄のしんまでも、唯りつけられるやうになつて残つてゐる。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
そこでこの心持ちが作の上にはどう現れているかと云うと、実に骨にり、肉を刻むという有様で、非常な苦労で殆ど油汗をしぼる。
予が半生の懺悔 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
扉の上に、うきりになって、牡牛おうしがねそべり、そしてその牡牛はこっちを向いて、長い舌を出しているのが、とりついていることだった。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
オランダの敷物、ペルシャの壁飾り、インドの窓掛、ギヤマンの窓、紫檀したん黒檀こくたんぎょくちりばめた調度、見る物一つとして珍奇でないものはありません。
自分の家へ無理に母娘おやこを連れて来た綾麿は、いやがる二人を、天狗長兵衛きぎむところの観音像の前に並べて、こう口を切るのでした。
自分すら忘れきつた、彼の人の出來あがらぬ心に、骨に沁み、干からびた髓のシンまでも、唯りつけられたやうになつて、殘つてゐるのである。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
(下に図するこれなり)きざみたる人のかしらを左りにむかせ、そのしもに五字をほりつけしは、是より左り蛾眉山下橋がびさんかのはしなりと人にをしゆる標準みちしるべなりとかたられき。是にて義理ぎり渙然くわんぜんたり。
鬼と見て我を御頼おたのみか、金輪こんりん奈落ならく其様そのような義は御免こうむると、心清き男の強く云うをお辰聞ながら、櫛を手にして見れば、ても美しくほりほったり、あつさわずか一分いちぶに足らず、幅はようやく二分ばか
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「その彫青いれずみ、いったい、どうしたんですか? いつ、どこで、誰かられて貰ったんですか?」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
それは名前のこくされた大理石の存する限り、永存すべき運命を持つ、石碑せきひられた名前であつた。
大くほつて居ました又大岡殿梅が死體の證據しようこは何じや憑司之はしかとした證據はぞんじませぬと云ふにぞ越前守殿早我は娘の事目的めあてありやと仰さるれはお早ハイ現在げんざいの一人娘何見違へませう姿すがた着類きものと云ひ聊か相違さうゐ御座りませんと云へば大岡殿コリヤ早其方が娘のからだきずはないかお早一向に御座りませぬと答るに實固しかとさうかと期を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わび禅師乾鮭からざけに白頭の吟をほる
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
これは彩色なしではあるが、木地きじのままでも、その物質そのままを感じ、また色彩をも感ずるように非常に苦心をしてったのであった。
侘禅師乾鮭からざけに白頭の吟をゑる
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)