トップ
>
彫
>
ぼり
ふりがな文庫
“
彫
(
ぼり
)” の例文
天井の高く、天人
彫
(
ぼり
)
の
欄間
(
らんま
)
から乳いろの湯けむりの中へ、虹のような陽が射しこんでいる。わずか五尺の体を洗う御風呂場である。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八五郎は氣輕に踏臺を持出すと、頑丈な板仕切の上のこれも
欅
(
けやき
)
の一枚板に、松竹梅を
透
(
すか
)
し
彫
(
ぼり
)
にした欄間を覗きました。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
まる
彫
(
ぼり
)
らしいのが十一重の明暗を塔ごとに蒼ぐろくしきつて、寂かに露をあびて立つた姿が落着いてよかつた。
名園の落水
(新字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
湯に入った時にだけ浮き出る商売女のぼかし
彫
(
ぼり
)
や、
隠彫
(
かくしぼり
)
なぞを見ても全く何の興味も覚えなかった。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
たとえば
青苔
(
あおこけ
)
の
上
(
うえ
)
に、二つ三つこぼれた
水引草
(
みずひきそう
)
の
花
(
はな
)
にも
似
(
に
)
て、
畳
(
たたみ
)
の
上
(
うえ
)
に
裾
(
すそ
)
を
乱
(
みだ
)
して
立
(
た
)
ちかけたおせんの、
浮
(
う
)
き
彫
(
ぼり
)
のような
爪先
(
つまさき
)
は、もはや
固
(
かた
)
く
畳
(
たたみ
)
を
踏
(
ふ
)
んではいなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
ときどき塔の
相輪
(
そうりん
)
を見上げて、その
水煙
(
すいえん
)
のなかに
透
(
す
)
かし
彫
(
ぼり
)
になって一人の天女の
飛翔
(
ひしょう
)
しつつある姿を、どうしたら一番よく捉まえられるだろうかと角度など工夫してみていた。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
但
(
たゞ
)
し
拵
(
こしら
)
へ
付
(
つき
)
貳尺四寸
餘
(
よ
)
無名物
(
むめいもの
)
縁
(
ふち
)
赤銅
(
しやくどう
)
鶴
(
つる
)
の
彫
(
ほり
)
頭
(
かしら
)
角
(
つの
)
目貫
龍
(
りよう
)
の
純金
(
むく
)
丸
鍔
(
つば
)
瓢箪
(
へうたん
)
の
透
(
すか
)
し
彫
(
ぼり
)
鞘
(
さや
)
黒塗
(
くろぬり
)
鐺
(
こじり
)
銀
(
ぎん
)
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
厳
(
いか
)
めしい表玄関の戸はいつもの通り
締
(
し
)
まっていた。津田はその
上半部
(
じょうはんぶ
)
に
透
(
すか
)
し
彫
(
ぼり
)
のように
篏
(
は
)
め
込
(
こ
)
まれた厚い
格子
(
こうし
)
の中を何気なく
覗
(
のぞ
)
いた。中には大きな
花崗石
(
みかげいし
)
の
沓脱
(
くつぬぎ
)
が静かに横たわっていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それも、手のこんだ高価なものより、一刀
彫
(
ぼり
)
とか、土焼とか、
張子
(
はりこ
)
とか、そうした郷土玩具的なものが好きだった。震災前には客間が和室の八畳だったので、その違い棚に一杯にならんでいた。
解説 趣味を通じての先生
(新字新仮名)
/
額田六福
(著)
果然
(
かぜん
)
、
頭文字
(
かしらもじ
)
らしいL・Mの二字が、ケースの
一隅
(
いちぐう
)
に
刻
(
きざ
)
まれているのを発見した。L・Mとは誰であろう。
尚
(
なお
)
もケースをひっくりかえしてみるうちに、遂に某大国の製品を示す
浮
(
う
)
き
彫
(
ぼり
)
が眼についた。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
地金
(
じがね
)
すべて、黄金なのはいうまでもない。
迦陵頻迦
(
かりょうびんが
)
のすかし
彫
(
ぼり
)
である。
蓮
(
はちす
)
の花は白金だし
翠葉
(
みどりは
)
は
青金
(
せいきん
)
だった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
高麗縁
(
かうらいべり
)
の青疊の中、
脇息
(
けふそく
)
に
凭
(
もた
)
れて、眼をやると、鳥の子に百草の
譜
(
ふ
)
を書いた唐紙、唐木に百蟲の譜を
透
(
すか
)
し
彫
(
ぼり
)
にした
欄間
(
らんま
)
、玉を刻んだ引手や
釘隱
(
くぎかく
)
しまで、此部屋には何となく
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小瓢箪
(
こひょうたん
)
だの、
印籠
(
いんろう
)
だの、
紐付扇子
(
ひもつきせんす
)
だの、馬の一刀
彫
(
ぼり
)
の
根〆
(
ねじめ
)
だの、珠だの何だの——七、八種のものをくくりつけて、虎の皮と
豹
(
ひょう
)
の皮とを縫いあわせた
半袴
(
はんばかま
)
の下には
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次は縁側から踏臺を持つて來ると、長押の上の
透
(
すか
)
し
彫
(
ぼり
)
などを、念入りに調べて居ります。
銭形平次捕物控:209 浮世絵の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
『決して、元金利子共、一文も御損はおかけいたさぬつもり。それに、拝借した金子は二両、あの後藤
彫
(
ぼり
)
の目貫は、少くも廿枚以上の品と承知しておる。それではあまり
悪
(
あく
)
どいではないか』
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一 四分一
鍔
(
つば
)
、厚サ一分二リン
透
(
すか
)
シ
彫
(
ぼり
)
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
努めてまる
彫
(
ぼり
)
の悪人を気どっていた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彫
常用漢字
中学
部首:⼺
11画
“彫”を含む語句
彫刻
牙彫
木彫
浮彫
彫刻物
象牙彫
透彫
彫塑
彫刻師
鋳型彫
彫物
彫琢
彫像
高彫
彫付
筋彫
朱彫
彫心鏤骨
欄間彫
彫刻家
...