“沓脱”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くつぬぎ85.2%
くつぬ14.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
馬耳は沓脱くつぬぎへ降り、戸にかんぬきをおろした。尨大な夜の深さが、馬耳の虚しい寂寥を漂白するために、ひえびえと身体を通過していつた。
(新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
道也先生は親指のくぼんで、前緒まえおのゆるんだ下駄を立派な沓脱くつぬぎへ残して、ひょろ長い糸瓜へちまのようなからだを下女の後ろから運んで行く。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たぶん裏から忍びこんだものであろう、縁さきの沓脱くつぬぎ石に片足をかけ、甲斐のほうを注視しながら、静かな声で云った。
信子は独り彼の後から、沓脱くつぬぎの庭下駄へ足を下した。足袋を脱いだ彼女の足には、冷たい露の感じがあつた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)